「正しい寝正月」3つのポイントを意識して睡眠の歪みを直す

昼寝は明るい部屋で/(C)日刊ゲンダイ
昼寝は明るい部屋で/(C)日刊ゲンダイ

 年末年始は家でゴロゴロして、体を癒やそうという人もいるだろう。だが、好きなだけ「食べて、飲んで、寝て」を繰り返していると、かえって体調を崩しかねない。正しい「寝正月」を送れば、睡眠の歪みは直せる。「ベスリクリニック」(東京・千代田区)で睡眠外来を担当している作業療法士の菅原洋平氏に詳しく聞いた。長い休みは睡眠のリズムを崩しやすい。まずは睡眠の歪みを「抑える」ことを心がけたい。

■朝になったら部屋を明るくする

 冬は日の出の時刻が遅いため、睡眠のリズムがどんどん遅れる方向にずれ、「夜中まで眠れず、朝起きられない」状態になりやすい。リズムがずれないようにするには、起床時間を一定にするのが有効だが、せっかくの休日くらいのんびり寝坊したい。そんな人は、暗い部屋で寝ないようにすればいい。

 人間は、日光を浴びると、脳を眠らせるホルモン「メラトニン」が急激に減って目が覚める。「メラトニン」は、朝にしっかり減らすと、夜には増えやすくなり、睡眠リズムも崩れない。

「メラトニンは網膜が光を感知した時点から分泌がストップします。寝るときは窓際に陣取り、カーテンを少し開けておけば、自然と光を感知できるので実践してみましょう。窓際で寝ることができない人は、朝、目覚めた時点でカーテンを開けて窓から1メートル以内に入ってください。朝の習慣になっていることを窓際でできればさらにいい。二度寝する場合も、電気をつけて部屋を明るくしたまま眠ればOKです」

 ただし、光を感知させるリミットは普段の起床時間から4時間後まで。人間は光に対する感度が感知直後から徐々に下がっていき、4時間後になくなってしまう。普段、朝6時に起床している人は、10時までに窓際に移動したり、部屋を明るくする必要がある。

■ウトウトするのは午後3時まで  

 光に当たることが難しかったり、タイミングを逃してしまった場合は、「深部体温」の調整が効果的だ。深部体温とは内臓の温度のことで、人間は深部体温が高くなると活発になり、低くなると眠くなる。深部体温は、起床から11時間後(6時起床の場合は17時)に最高になり、22時間後(明け方4時)に最低になるリズムをもっている。

「深部体温が最高になる時間帯に眠って体温を下げてしまうと、リズムが後ろにずれてしまいます。普段、朝6時に起床している人は、深部体温がピークに向かいつつある午後3時以降は仮眠をとらないようにしてください。不足している睡眠の絶対量を増やすために仮眠をとるなら、午後3時をリミットにする。これを心がけていれば、リズムは簡単に崩れません」

 明るい部屋で午後3時までなら、好きなだけ昼寝してもいい。

■最終日は午後8時までに夕食を済ませる

 それでもリズムが崩れてしまった人は、睡眠の歪みを「修正」したい。それには「食事」を利用する。人間は食事と食事の間=絶食している時間が最も長かった後の食事をきっかけに生体リズムをスタートさせる仕組みになっている。ほとんどの場合、夕食→朝食の間が最も長い絶食期間で、朝食をとった時点から自然と活動的になっていく。

「調整に有効な絶食期間は10時間以上です。起床時間から逆算して夕食を食べれば、翌朝の食事をとった時点から活動的になる生体リズムをつくることができます。朝6時起床なら、夜8時までに夕食を済ませるようにしてください」

 食事による調整は2日以上続けると効果が高い。

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