安心して治療に専念 患者が医者に聞くべき5つのポイント

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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 体調を崩して病院に駆け込み医師の言うがままに治療を受けたものの、なんとなく不安を感じた経験がある人は少なくないだろう。良質で適切な医療を受けるには、医師とのコミュニケーションが欠かせない。患者が聞いておくべきポイントは5つある。
 信頼できる医師に安心して治療を受けたい。そのためには、「質問」が重要だという。

「医者が患者に教えない病気の真実」などの著者で、江田クリニック院長の江田証氏は言う。
「患者さんは、医者に何を聞いていいか分からないから不安になる。的確な質問ができれば、漠然とした不安を取り除くことにつながります。医者の方も、患者さんから質問されることで改めてその病気に対する知識や対処を整理できますし、うっかり見落としていたことを気づかされるケースもある。誤診を防ぐためにも質問は大切です。患者からあれこれ聞かれるのを煙たがる医者がいるのも事実ですが、そういう医者は自分自身がその病気に対してよく理解できていない証拠。いいかげんな医者を見分けることにもなります」

 これまで、病院とはほとんど無縁だった50代のAさんが、40度近い高熱に見舞われた。ただの風邪かと思っていたが、咳と痰がなかなか治まらない。日に日に息苦しさも増している。さすがに心配になり、病院で診察を受けたところ「肺炎」だと告げられた。
 医師はサクサク診断・治療を進めていく。Aさんは不安でたまらなかったが、言われるがままにうなずくことしかできなかった――。

 これでは、安心して治療に専念することは難しい。それを避けるために「患者が医師に聞いておくべき5つのポイント」を江田院長にまとめてもらった。例えばAさんのケースはこうだ。

【1】診断の根拠
 なぜその病気だと診断したのか、その根拠を尋ねる。その病気をよく理解できていない医師はしっかり説明できない。ただ、中には時間経過によって症状がどう変化するかを見てみないと診断がつかない場合や、まず薬を飲んで効果を見て診断する「診断的治療」という方法もあるので、焦らず理解しておく。
「肺炎はレントゲンに写った肺の影を見て診断します。影の形が不整形で、星形のようにあちこちが尖っている場合、悪性(肺がん)の可能性も出てくる」

【2】他に考えられる病気
 診断する際は、候補になる病気をいくつも挙げることが重要とされている(鑑別診断)。その候補をひとつひとつ分析し、根拠に基づいて消去していくことで正確な診断に行き着く。
「Aさんの場合、インフルエンザなどのウイルスが原因のウイルス性肺炎、カビなどが原因になる真菌性肺炎、結核、肺がんといった病気を候補に挙げて考えていきます」

【3】治療の選択肢
 どんな治療法があり、それぞれの治療法にリスクと効果がどれぐらいあるのかを尋ねる。治療しなかった場合はどうなるかも聞いておく。
「細菌性肺炎には抗生物質による治療が行われます。痰から原因菌を特定するまでに時間がかかるので、病原菌の予想をつけて抗生物質を開始するのが一般的です」

【4】治療効果を示すデータ
 治療にあたっては、効果を客観的に判断するためのデータが重要。
「肺炎はレントゲンの影が改善したかどうかを見ますが、治っても写真が改善するまでには時間的な遅れがある。そこで、CRP(C反応性タンパク)などの炎症反応が下がっているか、白血球数が正常になってきているかを見ます」

【5】治療の目標
 根治するのか、どのぐらいの期間で治るのか。治療効果の感触や予想を明確にする。
「肺炎は通常なら1週間程度で根治します。根治が難しい病気の場合は、病気と上手に付き合っていく方法を考えます」

 5つのポイントを押さえておけば、Aさんも安心して治療に臨める。

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