患者に聞け

【慢性心筋梗塞】 毎日何種類も薬を飲み、定期健診を続けるも4度目のカテーテル治療

写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ
写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ

 東京・大田区内に住む自営業の内藤輝夫さん(61=仮名)は、病院で正月を迎えた。内藤さんが長年抱えている病名は「慢性心筋梗塞」である。入院治療を受けるのは、これで4度目だ。

 最初の入院は50歳を過ぎて間もなくのこと。心臓周辺に、いきなり太い畳針で突かれたような痛みが走った。妻が救急車を呼び、自宅から近い大きな病院に搬送された。

「大学の医学部付属病院でした。ただ、信じてもらえないでしょうが、一定の検査を受けた後に心筋梗塞の疑いと言われ、次の言葉にショックを受けました。『手術はどこの病院でしますか?』ですよ。私自身はもちろん、ここの病院で手術したいと思ったのですが、医師は自信がなかったのでしょうね、事実上の“手術拒否”でした」

 2週間ほどで退院して帰宅。もとより酒はたしなまなかったが、この機会に好きなたばこはやめた。

 それから3年ほどして再び、同じ症状が出た時、神奈川県内の民間病院に入院した。心臓カテーテルの治療件数の多さで知られる病院である。

 血圧、血液検査に始まり、カテーテル(冠状動脈造影)検査、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)検査など10種類以上受けた後、「バルーン療法」を受けた。

 脚の付け根にある血管から、カテーテルの先端についたバルーン(風船)を差し込み、血栓で狭くなっている冠動脈を膨らます療法だ。血管を正常に広げた後、バルーンをしぼませて外に取り出す。

「治療中の痛みはないのですが、数カ月も経つと、再び血管が狭くなるそうなんです。その後、2カ月に1回、定期検診を受けておりましたが、3度目の入院で動脈の内側に、やはり脚の付け根から『ステントグラフト』を入れる手術を行いました」

 ステントグラフトとは、化学繊維でできた人工血管にステントという網目状になった金属製のバネを取り付けた器具である。血圧とこのバネの力で血管の内側を固定して補強し、血液をスムーズに流す療法で、ステントグラフト内挿術ともいわれる。

 しかし、この治療法も完全でない。

 内藤さんは毎日、抗血栓薬など数種類の医薬品を服用、定期検診も欠かせない。

「仕事は普通に続けていますが、昨年の暮れになって、続けて歩くことが困難になってきたのです。特にエレベーターのない地下鉄では、改札口まで行くのに途中で一休みしないと息切れしましてね」

 正月を挟んで4度目の入院治療。ステントグラフトに詰まった血栓を除去するためだった。

 担当医からは、「油ものは最小限に。食事の量を減らして、とにかく減量をしなさい」と忠告を受けているそうだが、なかなか約束が守れないという。