「睡眠や休養を十分に取れている時を『黒字』、仕事量がオーバーしている時を『赤字』とすると、1週間単位で調整して結果的に黒字にできれば、頚肩腕症候群にはならない。ところが、赤字が続くと、頚肩腕症候群に至り、重症化する恐れがあるのです」
厄介なことに、レントゲンなどの画像診断では発見できない。整形外科に行っても「異常なし」「原因不明」と言われ、医療機関を転々とする人も少なくない。
「私は、首や肩、腕などを軽く押したり、叩いて診ます。それで凝り・痛みを訴えれば、筋肉が緊張しているということ。緊張の程度は時間によって変化しますが、圧痛点(押して痛みのある場所)は一度できてしまうと変わりません。圧痛点が広がっているほど重症です」
予防・治療の基本は仕事量・密度の調整と十分な睡眠・休養。休日はゆっくり休み、パソコン作業は60分したら15分休む。集中的入力作業は5時間までにする。症状によっては、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬、抗うつ薬や抗不安薬、漢方薬などを用いることもある。
「対策は早ければ早いほどいい。重症化したために、休業期間が5年、10年という患者さんもいるのです」
凝りを甘く見てはいけないのだ。