糖尿病のセカンドオピニオン 受けるべき「3つの判断材料」

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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 厚労省の「患者調査」(2011年)によると、糖尿病で治療を受けている患者数は約270万人。しかし、中には医師の言いなりで治療を続け、ちっともよくならない……と頭を抱える患者がゴマンといるという。思い当たる場合、セカンドオピニオンを受けた方がいい。

 糖尿病は、長期にわたって治療を続けていかなければならない病気だ。インスリンなどの投薬や食事療法で血糖をコントロールしつつ、合併症に対するケアも行っていく。その分、担当医師とも長く付き合うことになるし、信頼関係が重要になる。疑問や不安を抱いたまま治療を続けてもマイナスになりかねない。

 糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)院長の辛浩基氏は言う。

「糖尿病のセカンドオピニオンはそれほど広まっていませんが、いまの治療が本当に自分に合っているのかどうか、専門医に意見を聞いてみるのはいいことだと思います。日本は糖尿病の専門医が少なく、専門医以外の医師による治療も行われている。そのため、投薬の微妙なサジ加減がうまくできずに血糖状態が改善されないケースも少なくありません。治療を続けてもなかなかよくならないため、疲れ果てている患者さんもいます」

 たとえば、インスリンの分泌を促して血糖値を下げる「SU剤」という飲み薬がある。1950年代に発売されて以来、現在でも広く使われている薬だ。

 ただし、SU剤は「低血糖を起こしやすい」という特徴がある。

 現在の糖尿病治療では、低血糖を起こさせないことが重要視されている。低血糖を起こすと、意識を失って転倒・骨折を招いたり、心筋梗塞、致死性の不整脈、認知症の発症リスクを高めるという報告がいくつもある。

 的確に使えば効果的な薬なのに、使いこなせない医師によって患者のマイナスになっているケースもあるという。

「日本人はインスリン分泌力が低いことで糖尿病になるタイプが多い。そうした患者さんには、SU剤を少量だけ使ってインスリン分泌を補助してあげたり、SU剤よりも早く効いて早く効果がなくなるインスリン分泌促進薬(グリニド薬)を毎食前に使い、食後の血糖上昇を抑えることが効果的です。それだけで、血糖をしっかりコントロールできている患者さんはたくさんいます。しかし、ただ漫然と最大用量のSU剤を処方して、低血糖や肥満を招いている医師もいるのが現実です」

■ひとつでも当てはまるなら他の専門医に相談を

 患者側が日頃から自分の状態をチェックしておくことが大切だ。セカンドオピニオンを受けるべき「判断材料」は3つある。

(1)頻繁に低血糖を起こし、フラフラしたり、不快感を感じることが多い。
(2)薬を飲んだあと、お腹がすいて仕方がない。
(3)薬を飲み続けてから、体重がどんどん増えている。

「いずれも低血糖を起こしていると考えられます。3つのうちどれかひとつでも当てはまる場合は、早い段階でセカンドオピニオンを求め、他の専門医に相談してみることをおすすめします。薬を飲んでいるのに、HbA1cがずっと8%を超えている患者さんも、いまの治療法で正しいかどうかを疑ってみたほうがいいでしょう」

 日本糖尿病学会のホームページを閲覧すれば、自宅の近隣に糖尿病専門医がいるかどうかを調べることができる。東京在住なら、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」というサイトが参考になる。糖尿病専門医がいる病院や、どのぐらい患者がいるか、どんな治療ができるかなど、さまざまなデータが掲載されている。まずは、該当する医師がいる病院に相談すればいい。

 信頼できない医師の言いなりのままでは、自分の身は守れないのだ。

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