がん宣告された時から始まる「心の緩和ケア」5つのコツ

写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ

 大盛況だった日本緩和医療学会主催の公開講座のリポートをお届けする。

 緩和ケアは、病気に伴う「体」と「心」の痛みやつらさを和らげるもの。しかし、「心の痛みやつらさ」について、よく分からない人も多いのではないだろうか?

「がん患者の心の医療は非常に重要です。気持ちや心がつらいと体にも悪影響が出ます。食欲がない、眠れないなど、患者の全般的な生活の質(QOL)が下がる。死にたいという思いにつながる。がんに対する治療意欲を奪う。それは、入院期間の長期化とも関連しています」(市立札幌病院精神医療センター・上村恵一副医長)

 多くの人が抱く緩和ケアのイメージは、「がん治療の後、余命6カ月と宣告されてからのターミナルケア」だろう。しかし本来の緩和ケアは、「がんと宣告された時から始まるもの」だ。

「私たちはがんと診断を受けるまでは、死を自分と距離があるものと考えています。しかし、いざ、がんとなると、生きるための人生が、死に向かうものに変化し、衝撃を受け、一度は否認し、絶望感や怒りがくる。これはどのがん患者さんでも同じです。つらい心を支えるのが心の緩和ケアで、その割合は最期の時に近づくにつれ大きくなっていきます。患者さんが亡くなった後、残された遺族の心を支えるのも、重要な緩和ケアです」

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