「イキんで排便しようとすると腹圧が高まり、それによって前立腺が充血し、尿道がさらに圧迫されて排尿障害がもっとひどくなるのです」
前立腺肥大症の日常的な注意には、「バランスのよい食事」「刺激物を取らない」「座ったままの姿勢を長時間続けない」「体を冷やさない」と並び、「便通を整える」が挙げられている。便秘が症状を悪化させることもあるからだ。
「便秘を改善したら前立腺肥大症が治るわけではありません。しかし、便秘が解消されると、前立腺肥大症で起きている尿の出の悪さが改善されることが多くあります」
前立腺肥大症と並んで、食生活と関係ない便秘の原因として石井院長が指摘するのが、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、脊髄の損傷だ。
「ほとんどの内臓は、脳から出ている迷走神経に支配されています。ところが直腸や膀胱は、骨盤神経に支配されている。脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどで骨盤神経に問題があると、便や尿が出にくくなることもあるのです」