“臭い玉”として話題 その口臭は「膿栓」が原因かもしれない

喉の奥にたまる“白い塊”が…
喉の奥にたまる“白い塊”が…(C)日刊ゲンダイ

 インターネット上でたびたび話題になる「臭い玉」をご存じだろうか? 知らないうちに喉の奥にたまってしまう「膿栓」と呼ばれる乳白色の塊で、口臭の原因になるという。

 40歳のSさんは、幼い頃から扁桃が炎症を起こしやすく、季節の変わり目になると風邪をひくことが多い。今年の冬も風邪にかかり、喉が強烈に痛くなった。

 何日かして症状はピークを越えたのに、なんとなく喉の奥に違和感があったが、まだ喉が腫れているんだろうと思っていた。

 そんなある日、からんだ痰を吐き出そうと大きく咳をしたら、口の中から直径3ミリほどの白い塊が飛び出してきた。

〈なんだこりゃ?〉

 初めて目にした謎の物体……。興味本位で潰してみた途端、Sさんはとんでもない悪臭に見舞われた。腐った魚の死骸が浮かぶ下水のような強烈な臭いだったという。

 この白い塊が「膿栓」だ。耳鼻咽喉科学会専門医で「慶友銀座クリニック」(東京・東銀座)の大場俊彦院長は言う。

「喉の奥の左右にある扁桃は、口や鼻から侵入してきた細菌、ウイルスから体を防御する免疫の役割を持っている。吸い込んだ細菌やウイルスと効率よく戦うためには表面積が大きい方が有利なので、扁桃にはいくつもくぼみがあります。そのくぼみの中に、細菌の死骸や血液、口内で剥がれ落ちた皮膚、食べ物のカスなどがたまって塊になったものが膿栓です。このいわばゴミの塊を栄養に細菌が繁殖し、たまって大きくなってくると、喉の奥の違和感や口臭の原因になるのです」

 扁桃にあるくぼみの大きさや位置によってたまりやすい人もいるが、基本的には誰もがたまるものだという。

「病気ではありませんし、そのままにしておいても問題ありません。多くの場合、咳やくしゃみ、うがいをしたときなどに気づかないうちに排出されたり、食事と一緒にのみ込んでしまうことがほとんどです」

■自力で取ろうとするのは危険

 しかし、膿栓には強い悪臭があり、口臭の一因になる。下水の臭いという人もいれば、大便や足の爪あかに例える人もいるほどだ。だいたい3~6ミリ程度だが、中には1センチを超える大きさに“成長”するケースもある。

 そのため、自分で除去しようと扁桃のくぼみにたまっている膿栓を綿棒や耳かきで押し出したり、かき出している人も少なくない。ネット上でも「臭い玉(膿栓)の取り方」についてさまざまな方法が紹介されているが、うかつに試すと危ない。

「耳かきなどで無理に膿栓を取り出そうとすると、扁桃を傷つけて炎症を引き起こす可能性もあるので危険です。耳かきが折れて破片が刺さったり、のみ込んでしまうと、緊急手術が必要になるケースもある。気になる人は耳鼻科で取り除いてもらうことをオススメします。空気を吹き付けて飛ばす、水で洗浄する、吸引する、ピンセットで取り除くなど方法はさまざまですが、いずれも簡単な処置で済みます。当クリニックにも、1週間に1人ぐらいのペースで膿栓を取ってほしいという患者さんがやって来ます」

 中には、注意が必要な膿栓もある。発熱や喉の痛みが続き、強い口臭があったり、頻繁に膿栓ができる人は、慢性扁桃炎や習慣性扁桃炎を起こしている場合があり、心臓、腎臓、皮膚に悪影響を及ぼすケースもあるという。また、「扁桃の片側に膿栓のようなものが数多くこびりついている時は悪性の可能性も出てくる」というから、甘く見てはいけない。

 膿栓が気になる人は自力でなんとかしようとせず、耳鼻科で相談するべし。

関連記事