米国では標準医療 まさかの「糞便移植法」で難病も治る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 腸内細菌は腸粘膜に1000兆個も存在し、食物の消化、病原菌の排除、ビタミンBやCの合成、免疫力のアップなど、さまざまな役割を担っている。ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、大腸菌などの「悪玉菌」、それ以外の「日和見菌」の3グループに分かれていて、全体の4分の3以上を占める日和見菌は、腸内の善玉菌が優位になると善玉に協力し、悪玉菌が増えると悪玉の味方につく。つまり、バランスが重要になる。

「腸内細菌のバランスが元に戻れば炎症性腸疾患は改善するということで、そのために効果的なのが便移植です。健康な人の便100グラム中には、さまざまな種類の100兆個の腸内細菌が含まれています。対して同じ量のヨーグルトはたった1種類の乳酸菌が200億個ですから、便移植は文字通りケタ違いに有効なのです」

■中国では4世紀から施術

 便移植の歴史は古い。4世紀の中国の文献には食中毒の患者に便をのませて治療を行っていたという記述があり、1958年には海外の医学誌に便移植によって偽膜性腸炎患者の症状が改善した症例が報告されている。しかし、感染症のリスクが危惧されてこれまで日の目を見なかった。

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