患者に聞け

【高次脳機能障害】感情のコントロールができず記憶も曖昧に

キッカケは交通事故だった…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 医学的には「高次の脳機能の障害」ともいわれる。
 見た目は健常人であるために、外からはわかりにくい。しかも、自覚症状が薄いため“隠れた障害”ともいわれている。

■粗暴になり、家までの帰り道もあいまい

 マラカールさんはもともと温厚で、優しい性格だった。暴力も振るったことがない。
 ところが交通事故に遭ってから、怒る、笑うといった感情のコントロールができなくなった。
 めったに夫婦喧嘩もしたことがなかったのに、ささいなことで大声を上げる。工務店に依頼した店の内装をめぐって職人と言い争いになり、手にナイフを持つこともあったという。

 記憶が曖昧で、明日の予定をすぐ忘れてしまう。人の名前や作業の手順が覚えられない。自分の意思を満足に伝えられなくなった。

「店の仕事は店員に任せるようになりました。帰り道がわからなくなってしまうから、遠出もできません。見た目、そんな病気を持っているようには見えないでしょう? だから、余計に困るのです」

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