ピークでも間に合う くしゃみ、鼻水止める「花粉症」新対策

不快症状すぐ止めたい!
不快症状すぐ止めたい!(C)日刊ゲンダイ

 今年はなんとか大丈夫……と思っていたら先週末、いきなりやってきた。花粉症だ。目がかゆく、くしゃみが止まらず、鼻水が流れっぱなし。この症状、なんとかできないか。

「花粉症の薬は、飛散のピークを迎える前から飲みましょう」などとよく聞くが、そんな人はむしろ少ないのではないだろうか。数年前に花粉症を発症した記者は、これまで2月末から薬を飲むようにしていたが、飲んでいてもシーズン時は症状が出る。薬代がかさむのも気になる。そこで、今年は「いざとなったら」と思っていたら、突然やってきて、参った。

「花粉症の症状は一時のもの。症状も出ていないのに、眠気などの副作用がある薬を飲むのはどうでしょうか? 私自身は、眠気で仕事にならなかった経験があるので事前に飲むことはしていませんね」

 こう話す石井クリニック(さいたま市浦和区)の石井泰憲院長は、前立腺の専門医だが、長年の“花粉症持ち”ということもあって、経験に裏付けされた花粉症対策を患者に紹介している。前立腺の取材で訪問した際、「あなたも花粉症? いい方法があるよ」と教えてもらった。

「漢方薬の小青竜湯がおすすめ。朝、花粉の飛散量情報をチェックし、それに合わせて飲みます。だいたい服用後15分ほどすると、“効いてきたな”と実感します。1包で効き目がイマイチなら、また1包。多い時は1日6包くらいまで飲みます。保険適用は1日3包ですが、6包までなら副作用の心配はありません」

 雨が降っている日や、夕方以降は花粉の飛散量がぐっと減る。症状が出なそうなら飲まない。もし出たら飲む。フレキシブルなのがいい。

■軽い運動や乾布摩擦も効果

「副交感神経の働きが過剰になると、鼻水などの分泌が促される。血管の収縮や緊張も緩み、花粉症の症状が強く出ます」と言うのは、日本医科大学耳鼻咽喉科・大久保公裕教授。

 副交感神経はリラックスした時などに優位に働く自律神経で、活動時には交感神経が優位に働く。本来は副交感神経と交感神経がバランスをとって働いているが、現代人は生活習慣が不規則だったり、睡眠時間が短いか長いか一方に傾いていたり、屋内にこもりっぱなしで太陽の光を浴びずにいたりして「どちらかが過剰になりがちだ」と、大久保教授は指摘。

「今からなら、脈拍が10程度上がる軽い運動を。乾布摩擦や熱めのお風呂に入ることもすすめています。交感神経の働きが優位になり、副交感神経が過剰になるのを抑えます。血管の収縮・緊張が増し、鼻水が出にくくなります」

 薬を飲んでいるのに効き目があまりよくなければ、適切でない薬を飲んでいるからかもしれない。

「飲み薬はいくつかのタイプに大別できます。クシャミや鼻水に対して比較的効果が早く表れ、鼻詰まりにもある程度効果があるのは、第2世代抗ヒスタミン薬。鼻詰まりに効く抗ロイコトリエン薬は効果が表れるまで数日間かかります。クシャミ・鼻水・鼻詰まりに効くケミカルメディエーター遊離抑制薬やTh2サイトカイン阻害薬も1週間と、時間がかかります」(大久保教授)

 記者は、乾布摩擦と熱めのお風呂に入り、市販の第2世代抗ヒスタミン薬を服用。地獄の日から一転、一日快適に過ごせた。ただし、眠気が強かったので、小青竜湯とうまく使い分けて、このシーズンを乗り切ろうと思っている。

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