民主岡田代表は2度手術 「網膜剥離」はこんな人がなりやすい

民主党の岡田代表は5月に3度目手術の予定
民主党の岡田代表は5月に3度目手術の予定(C)日刊ゲンダイ

 民主党の岡田克也代表が、昨年末に手術を受けた左目の網膜剥離が再発して再手術を受けた。5月には3度目の手術を行う予定だという。特殊なケースで起こる病気というイメージがあるが、誰にでも起こる可能性がある。なりやすい人もいるというから注意しておきたい。

 網膜剥離は、眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて起こる。悪化すると急激に視力が低下し、失明する危険もある病気だ。

 眼球の中央部分は「硝子体」と呼ばれるゼリー状のもので占められていて、その硝子体は光を感じる神経の膜「網膜」に包まれている。年を取ると、硝子体のゼリー部分と水分との分離が進み、硝子体が前方に移動して後方は水だけが取り残された状態になる。

 この時、硝子体の一部と網膜に癒着があると、癒着している部分の網膜が眼球の動きに従って強く引っ張られ、網膜が裂けて穴が開く(網膜裂孔)。これをそのまま放置しておくと、できた穴から網膜の下に水分がどんどん入り込み、網膜が剥がれてしまうのだ。

 清澤眼科医院(東京・江東区)の清澤源弘院長は言う。

「網膜剥離には、頭部への強い外傷や眼球打撲などによる『原発性網膜剥離』と、ぶどう膜炎や糖尿病網膜症といった疾患が原因で起こる『非裂孔原性網膜剥離』があります。一般的に網膜剥離というと前者を指すことが多く、外傷以外にも老化や近視によって引き起こされるケースがある。とくに近視が強い人は注意が必要です」

 近視が強い人は、眼球の奥行き(眼軸)が長く延びている。これに網膜が引っ張られて薄くなっているので、ちょっとした眼球の動きや振動などで網膜が裂けやすい。

 また、アトピー性皮膚炎の患者に網膜剥離が多いという報告もある。

「網膜の縁が断裂して網膜剥離を起こすケースが多く見られます。原因はまだはっきりしていませんが、アトピーの患者さんは、かゆさから頻繁に目をこすったり、眼球を叩く傾向があるためという説や、炎症によって網膜の縁が弱っているから剥離が多いのではないかという意見もあります」(清澤院長)

■10人に1、2人は再手術か必要

 自分は網膜剥離を起こしやすいタイプかも……という人は、普段から“前兆”に気を配っておきたい。

 注意すべきは「飛蚊症」と「光視症」だ。「飛蚊症は、糸くずのような黒いゴミが視線とともに移動するように見えるのが特徴で、網膜剥離のごく初期に見られることが多い症状です。光視症は暗いところでもチカチカとした閃光を目の中の決まった場所に感じます。これは、網膜が引っ張られて穴が開くときに生じる症状です。放置して剥離が始まると、周辺部から視野が欠けたり、物が歪んで見えるようになります」

 剥離が網膜の中心部である黄斑まで進むと視力が低下し、失明に至る危険もある。早い段階で眼科で検査を受けた方がいい。

「治療は、剥離が小さい段階ならレーザーによる網膜光凝固手術を行います。網膜がある程度剥がれている場合は、硝子体を取り除いて網膜への牽引をなくす硝子体手術や、眼球にシリコーン製のバンドを巻いて牽引を緩める強膜内陥術が行われます」(清澤院長)

 強い近視がある人は、手術を受けた後も気を付けたい。多くの硝子体手術を手がける竹内眼科クリニック(東京・台東区)の寺松徹氏は言う。

「眼球内の手術は、問題が起こりそうな箇所をすべて取り除くわけにはいきません。網膜剥離の手術も、1回ですべて問題なく治る確率は85%程度です。手術を受ける病院や医師によって変わりますが、10人に1~2人は再手術が必要になります。近視が強い人はもともと網膜が薄いので、手術で穴の周囲を凝固してもまた剥がれてしまうケースがあるのです」

 網膜のダメージが少ない段階で手術を受けるためにも、早期発見が大切だ。

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