“抜かずに”でトラブル急増 「子供の矯正」正しい歯科医選び

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「矯正歯科治療の専門家は、最初に治療計画を立てます。そのために顔のプロポーション、模型分析、頭部X線規格写真の分析、必要に応じて筋機能の検査、顎機能検査、咬合検査などを入念に行います。それを経て、使用する装置や抜歯するかどうかを決める。ところが、『抜かずに矯正ができる』『子供のうちは100%床矯正(取り外しのできる矯正装置)がいい』とうたい、検査、診断、分析の前に方針を決定する医師もいるのです」(稲毛理事)

 抜歯が必要な症例なのに、歯を抜かずに矯正する。手術が必要なのに取り外しのできる矯正装置を用いて矯正歯科治療を行う。そんな安易な歯科医がトラブルを生んでいるのだ。

「たとえば、下顎は一本の骨でできているので、手術で切れ目を入れないと顎が広がりません。全身麻酔が必要となり、慎重な検査、診断も必要ですが、それが省略されていたりします。不適切な治療を行っている一般歯科医では、初診時の写真、模型や頭部X線規格写真などの資料がないことが度々あります」

「出来る限り負担の少ない治療を」と願う親の気持ちを巧みに利用しているケースも少なくない。矯正歯科治療は自費診療だ。歯科業界が不景気ということもあり、「誇大広告」で患者を呼び込もうとするクリニックもあるようだ。

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