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【糖尿病】治療はやはり専門病院で 病院“渡り鳥”にならない

病院によって対応が違う
病院によって対応が違う(C)日刊ゲンダイ

「糖尿病」で怖い3大合併症は「神経障害」「網膜症」「腎症」だ。ほかに血管障害や脳血管疾患などもある。

 20年間、糖尿病の治療を受け続けている無職、大泉雅俊さん(仮名、66歳=東京・練馬区)は、心筋梗塞の手術を2度も受けた。

 1度目は5年前だった。

「自宅近くの理髪店でヒゲを剃っていたときでした。急に胸が圧迫されるような痛みを覚えたのです。そこから200メートル先に、いつも糖尿病の薬をもらっているクリニックがあり、なんとか歩いてそこまでたどり着き、命拾いしました」

 院長にニトロを飲ませてもらい、救急車で日大板橋病院(東京・板橋区)に搬送された。

 すぐ手術室に入り、「風船(バルーン)治療」を受ける。先端にバルーンを付けたカテーテルを冠動脈に挿入し、狭窄部を広げる療法だ。

 約2週間の入院。入院費用は自己負担で4万円だった。

 大泉さんは毎日、血糖値を下げる薬や血管拡張剤など約10種類の薬を服用している。

 ほかに「食事療法」として、主食はご飯100グラム(小さな茶碗にあっさり1杯程度)、ゴマ油をかけた玉ネギ1個を4分の1、ホウレンソウは1束の4分の3、たまにサバの缶詰をテーブルに載せるぐらいで、常に腹八分の状態をキープしてきた。

 さらに「運動療法」として1日30分~1時間ほど歩くことにしている。

「とにかく糖尿病を改善したくて、これまで10以上の病院で治療を受けてきました。ところが、それぞれの病院によって対応が違うのです。インスリン注射を打てとか、腎臓機能が低下しているから人工透析を受けてはどうかとか、和食がいいとか洋食はいいとか、カリウム(野菜)の取り過ぎだとか……」

 ある大きな病院で診察を受けたときは、しばらくして「当病院では治療しません」とだけ書かれた文書が自宅に届けられたという。

 このように病院の“渡り鳥”を続けてきたが、ある日、書店で糖尿病治療専門医が書いた本を手にした。著者は都内のある糖尿病専門クリニックの院長だった。

「この院長は、『インスリンなど必要ありません』『米などの炭水化物は少なめにして、肉類は食べてもいい』というアドバイスをしていました。実際、治療をお願いしてみると体調が良くて。今年で通院5年目になります。やっぱり糖尿病の治療は、専門病院がいいと思いましたね」

 そのクリニックに通院中だった2年前、再び胸の痛みを覚える。2度目の心筋梗塞だった。

「聖路加国際病院」(東京・中央区)に緊急入院し、「ステント療法」(冠動脈に金属でできた網の目の極細の筒を挿入する治療)を受ける。入院病棟は個室で、術後1日で退院したが、自己負担で10万円請求された。

「有名な病院は、料金が高いんですね」と大泉さん。現在は月に1回、クリニックに通院し、血液検査と尿検査を受け続けている。

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