市販の「歯磨き剤」には危ない化学合成物質がテンコ盛り

強い刺激がブラッシングの妨げに
強い刺激がブラッシングの妨げに(C)日刊ゲンダイ

 朝晩はもちろん、昼食後にも会社の洗面所でせっせと歯磨きをしている人もいるだろう。虫歯、歯槽膿漏、口臭の予防に効果的なのは間違いないが、市販の歯磨き剤を使っていると、逆効果にもなりかねない。

 虫歯や歯周病を予防するためには、歯と歯茎にたまった歯垢(プラーク)を取り除く歯磨きが欠かせない。

 歯垢は、食べかすや細菌、細菌の代謝物からなる物質で、歯垢の中で繁殖した細菌がさまざまな口内トラブルを引き起こす。水に溶けないため、適切なブラッシングでしっかり除去することが必要だ。

 その際、歯ブラシと一緒に市販の歯磨き剤を使っている人がほとんどだろう。最近は、薬用成分を含むものが多く販売され、テレビでは「歯周病を防ぐ」などと盛んにCMが流されている。

 しかし、この歯磨き剤が、逆に歯周病を招く一因になっているという。

「体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品」(幻冬舎新書)の著者で、科学ジャーナリストの渡辺雄二氏は言う。

「市販の歯磨き剤には、ほぼすべて『合成界面活性剤』という化学合成物質が主成分として配合されています。泡を立てて歯の表面を洗浄するためのもので、一般的には『ラウリル硫酸Na』が使われている。合成界面活性剤はどれも刺激性があるので、歯を磨いていると舌や口内の粘膜に強い刺激を感じます。〈歯磨き剤をのみ込まないようにしなければ〉とか〈歯磨き剤が汚れを落としてくれるから、そこまでブラッシングしなくてもいいだろう〉といった心理も働きます。そのため、どうしてもブラッシングの時間が短くなってしまうのです。ほとんどの人は3分程度、長くても10分ぐらいで済ませている。これでは、歯垢はしっかり除去できません」

 朝昼晩と歯を磨いているはずなのに、日本人の5人に4人が歯周病だといわれているのは、刺激が強い化学合成物質が大きな要因になっているのだ。

■がんやアレルギーを起こす可能性がある成分も

 歯磨き剤の“弊害”はこれだけではない。

 広く使われている合成界面活性剤の「ラウリル硫酸Na」は、かつて旧厚生省が皮膚障害、アレルギー、がんなどを起こす可能性があるとしてリストアップしていた表示指定成分だった。それだけ、要注意とされていた物質だ。

「他にも、市販の歯磨き剤にはいくつも化学合成物質が含まれています。保存料の『パラベン』は細菌やカビなどの増殖を抑制するための防腐剤で、口内の細胞に対して毒性がある可能性も指摘されている。酸化防止剤の『EDTA』(エチレンジアミン四酢酸)は皮膚障害、香味料の『サッカリンNa』は発がん性の疑いを持たれています。いずれも、表示指定成分の表記が義務付けられていたものです」(渡辺氏)

 市販の歯磨き剤には、それだけ危ない化学合成物質がたくさん配合されているのだ。

「口の中は粘膜で、皮膚よりも体内吸収率が高い。市販の歯磨き剤を使って毎日歯磨きをしている人は、発がん性や皮膚障害が指摘されている化学合成物質をせっせと吸収し、体内に蓄積し続けていることになります」(都内の歯科医)

 歯垢を除去するなら、一般に流通している歯磨き剤は使わずに、20~30分ほど丁寧に歯と歯茎の境目をブラッシングすればいい。それが難しいようなら、合成界面活性剤や保存料といった化学合成物質が含まれていない歯磨き剤を使うようにしたい。

「歯磨き剤を使わずにブラッシングを続けていると、歯が黒ずんでくる場合があります。そんな時は、合成界面活性剤や保存料は含まれていない『石けん歯磨き剤』を使うといいでしょう」(渡辺氏)

 ブラッシング時間をそうそう確保できない人にもおすすめだ。

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