認知症の母を記録し映画に 女性監督が提示する介護の選択肢

関口監督(右)とお母さん(C)NY GALS FILMS

「WHY」を頭に置けば理由が分かるし、それに応じた対策を講じられる。

「母の家系にはボケが多い。母本人も、ボケた母親が自分を忘れたことがトラウマになっている。だから、母が私や孫に『どなたさん?』と聞いたら、私は『隣の家のおばさんで~す』、孫は『レディー・ガガで~す』と答える。そして、『おばあちゃん、どなたさん? レディー・ババで~す』と返してワハハハと笑う。本人が落ち込んでいる時に、周囲がどう対応するかが非常に大事なんです」

■母は認知症の力を借りて解放されている

 関口監督は、「上から目線の医師ばかり」としばしば痛感するという。

「知り合った高名な医師が、学会のついでに家まで来て母を診てくれることになった。でも、医師の都合で訪問時間を決めたので、朝イチだったんです。その時間は母は機嫌が悪く、ケンもホロロで追い出してしまった。後で『トラウマになった』と先生に言われたんですが、限られたチャンスでベストのことをするにはどうすべきかと、考えない結果では? 医師はなかなか我々目線になれない」

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