認知症の母を記録し映画に 女性監督が提示する介護の選択肢

関口監督(右)とお母さん(C)NY GALS FILMS

 人間には、建前と本音がある。認知症の人も、医師の前では元気な様子をアピールするのに、家では暴れることもある。

「本音を見破る力量のある医師が必要で、そのためには、知見を共有しなくてはダメ。患者の家族側が医師を教育するつもりにならないと。医療中心のプログラムに合わせてやろうとすると、何も変わらない。私はだから、積極的に医師と意見交換します」

 関口監督の母親は、2年半後、認知症の進行とともに、引きこもりから抜け出した。冗談を口にするようになり、外出もする。風呂にも入り、“イケメン介護士”とのやりとりを楽しむことも。

「幸せ?」と聞く関口監督に、「幸せだよ~。嫌なこと、ぜーんぶ忘れるもん」と笑う。

「私は、まじめだった母が、認知症の力を借りて解放されていると感じている。モノの見方によって、対象は同じでも見え方が全く違う。つらい介護をしている人は、つらい介護を選択しているのではないかと、常々思うんです」

 関口監督は、母親の日々の様子をドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー1・2」で紹介しており、現在FINALを撮影中だ。

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