認知症リスク低下の効果も "歩幅80センチ"で人生が変わる

プラス10センチが大事
プラス10センチが大事(C)日刊ゲンダイ

「スマホの見過ぎが原因で、猫背の日本人が増えています。正しい姿勢を保つためには、力を抜いて立っていることが大事です。それには歩幅を広げることで、正しい姿勢を保つために必要な筋肉が付きます。少なくとも歩幅80センチ。いつもよりプラス10センチ、歩幅を大きくとって歩きましょう。見た目の印象も健康状態もガラリと変わりますよ」

 こう言うのは、年間1万人に歩き方を指導している「1.2.3秒 インプリセットエクササイズ」の著者で、ボディークリエーターの今村大祐氏だ。

 普段、通勤時に歩くとき、自分の歩幅が何センチくらいか知っている人は少ない。厚労省がウオーキングの試算に用いる平均歩幅は70センチ。しかし街を見渡すと、それよりももっと短い歩幅で会社に急ぐサラリーマンが多いという。

 今村大祐氏が続ける。

「歩幅を広げることで正しい姿勢がとれるようになります。前足のツマ先から後ろ足のかかとまで約80~90センチの歩幅が理想です。片足30センチ弱の両足分を引いて、隙間が20~30センチのイメージです。これで1日トータル30分間歩くことを目標にする。通して歩ければベター。歩幅を広げて広く足を踏み出すことで、正しい姿勢ができます。歩幅は正しい姿勢をつくる上で基礎となるのです。実は、姿勢を直すことで体の力を抜くことができます。集中力が高まり、仕事も頭に入りやすい。営業マンが取引先に与える印象も変わりますよ」

 歩くとき忘れてはいけないのが、体の軸を意識すること、正しい姿勢をキープしようとすること(背中とお尻は筋肉量が多いので、引き締めて)の2点だ。


■男らしく見え、認知症リスクも低下

 歩き方を変えることは、健康状態にも好影響をもたらす。

「普段70センチ前後で歩く人が80センチ前後に変えるだけで、インナーマッスルで一番大きな筋肉、大腰筋がしっかり動きます。これを続けると使う筋肉量が一気に上がり、代謝が上がる。また同時に、筋肉を鍛えることによって、テストステロン(男性ホルモン)やドーパミンの分泌量が増えます。その結果、堂々と男らしく、アクティブに見えるようになるのです。医療の専門家が“筋肉量と自信は比例する”というのはこういうことです」

 メリットはこれだけじゃない。

「有名プロゴルファーの多くは、トレーナーなどからウオーキングを教わっています。正しい姿勢や歩幅を保ち、一定のリズムで歩くことで、精神的に崩れないようになるからです。また重心が安定していないと、使いたくない筋肉を使うので、疲れやすい。パターのときに目線がずれると、脳が平行を捉えられなくなる。ウオーキングとゴルフは密接な関係にあるのです」

 さらに認知症リスクとの関係も分かってきた。東京都健康長寿医療センター研究所が、高齢者を歩幅が「狭い」「普通」「広い」に分けて分析したところ、普通に歩いたときに歩幅が狭い人(男では61.9センチ以下)は、広い人(70.6センチ以上)に比べ、認知機能低下のリスクが3.4倍だった(データは2013年)。

 “歩幅80センチ歩き”の意義は計り知れないといっていい。“プラス10センチ”でいい。今日から実践しよう。

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