脳梗塞治療は年々進化も 「FAST」だけは忘れてはいけない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 tPAの血栓溶解療法が適応できない、あるいは無効の患者に対しては、カテーテル(細い管)を血管に導入して血栓溶解剤を投与する治療法と、バルーン(風船)を閉塞した血管に置く治療法が行われる。

■網目状の筒で血栓をからめとる新機器も登場

 2010、11年には、これらよりも高い効果が期待される2つのタイプの機器が承認された。先端がらせん状の軟らかいワイヤで血栓をからめとって回収するタイプと、血栓を吸引して回収するタイプだ。

 さらに13、14年、より効果的な2つの機器が、相次いで承認された。どちらもステント(金属の網目状の筒)が血栓内で広がり、血栓をからめとる。そのステントを引き抜くことで血栓も引き抜かれ、血流が再開し、死や後遺症を免れる。

「脳梗塞の治療は、血栓で詰まった脳の血管を再開通させ、死亡率を減らし、自立した生活を取り戻せるかどうかで評価します。13、14年に承認された機器は、その前の機器と比較して優れていることが明らかになっています。たとえば、90日後の日常生活自立度を比較すると、10年承認の『メルシー』は約21%ですが、14年承認の『トレボ』は40%と2倍高い。脳梗塞発症後8時間以内まで可能です」(神戸市立医療センター中央市民病院脳卒中センター・坂井信幸センター長)

2 / 3 ページ

関連記事