大橋巨泉氏は3度目…「新しいがん」ができる人は何が違う?

右肺にがんが見つかった大橋巨泉氏
右肺にがんが見つかった大橋巨泉氏(C)日刊ゲンダイ

「二度あることは三度ある」と言ってはいられない。タレント・大橋巨泉氏(81)のことだ。すでに手術を受けた胃がんと中咽頭がんに続いて、右肺に新しいがんが見つかり、来月にも手術を受けるという。いつもの気丈さは影を潜め、「このがんがヤバいと、今年中に死ぬ」とつらい心境を吐露している。

 がんというと、“転移”や“再発”が恐れられる。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(75)は、直腸がんが肺と肝臓に転移。アナウンサーの大塚範一氏(66)は、再発した白血病に苦しんでいる。

 巨泉氏も、2つ目のがんが食道近くのリンパ節に転移したが、3つ目の肺がんは別物。これだけ次から次へと新しいがんができるのは、なぜか。

 聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック院長」の西崎統氏が言う。

「40兆あまりの人体の細胞は、必要に応じて生まれ変わっていて、細胞内のDNAも修復されているのですが、DNAの複製がうまくいかずに変異して、その細胞が増殖するのが、がんです。新しいがんができやすい人は、DNAにキズがつきやすい人といえます。あるがんの一部が血流やリンパ液に乗ってできる“転移がん”とは違うのです。転移は、がんの摘出手術に伴う出血がキッカケになることもあります」

■“家系”は関係なし

 大橋巨泉氏は、母を子宮がんで亡くし、妹は卵巣がんでつらい闘病生活を送ったことから、がん家系の思いが強く、30代半ばから毎年1回人間ドックを受けてきた。だが、最近の研究では、がんは家系の影響ではなく、生活習慣の影響が強く、それがDNAにキズをつける要因だという。

「胃がんは塩分摂取、大腸がんと前立腺がんは脂肪分の摂取が多い人に発症しやすい。食習慣は、同じ環境で育った家族で共有され、家族と離れて暮らしても受け継がれます。ある家系にがん患者が相次ぐのは、食事や飲酒、喫煙など生活習慣が強いのです」(西崎統氏)

 大橋巨泉氏の中咽頭がんは飲酒や喫煙がよくないとされ、やはり“生活習慣病”だ。女性の子宮頚がんや男性の陰茎がん、膀胱がんは、セックスでうつるHPVというウイルス感染が原因のひとつ。不特定多数のセックスもよくないという。何事もほどほどが肝心だ。