作家・山本一力氏が語る「ノルディックウオーキング」の魅力

「自分の足が“乗り物”」と語る山本一力氏
「自分の足が“乗り物”」と語る山本一力氏(C)日刊ゲンダイ

 作家の山本一力氏(67)は、4年前からノルディックウオーキングにハマっているという。「普通のウオーキングでは使わない筋肉を動かせて全身運動になる。肩や首の凝りが取れ、目の見え方もよくなった」と話す。その魅力を詳しく聞いた。

 体は楽に使う方がいい。俺も自転車をロードでがんがんやってきたんだけど、震災以降、めちゃくちゃ飛ばしたり、無灯火で自転車に乗る無法者が増えたので嫌になって、歩く方に変えた。そんな時、かみさんが「同じような時間で、運動量が何割増しかになるからやってみようよ」と見つけてきたのが、ノルディックウオーキングだった。

 実際に始めてみたら、普通に歩くより気持ちがいい。なにがいいって、腕を大きく振り、しかもその時手をグーパーグーパーと動かす。この連続が実に気持ち良かった。俺もパソコンで原稿を書いているから、指は使うけど、手のひらの運動はあまりしない。グーパーグーパーが体全体に伝わって刺激する。これいいな、と最初に感じたんだ。

 当初は自己流でやっていたんだけどな、一緒に始めたかみさんがいろいろダメ出しをする。面倒に思ったけど、教則本を買って、付属のDVDを見たら、“こうやるのか”と視覚で分かり、意識してグーパー動かすようになったんだ。

■上り坂が大好きに

 ノルディックウオーキングは、単にポールを持って歩くことではないんだな。腕の振りが必ずいる。ポールを上に持ち上げ、突き落とす位置が大事。それに手のひらのグーパーが連動する。そうすることで、普通に歩いたのでは使わない筋肉を動かし、運動になる。間違ったやり方をすると、“杖”になってしまい、体には意味がない。

 大事なのは、自己流でやらずに、ちゃんと基本を体に叩き込むこと。いろはの“い”から始めれば、体が忘れないから、結局は得。読者の皆さんには、「とにかく基本をやれ」とくどいくらい言いたいんだな。教室などに行かなくても、教則本やDVDで十分にできる。中途半端に身に付けた人に学ぶより、DVDの方がよほどいいと思うよ。

 ノルディックウオーキングを始めてから、上り坂が大好きになった。上ると本当にうれしくなる。このために行っているのが熱海で、神楽坂よりきつい傾斜が延々と続く。

 熱海はどこもいい。山だと自然破壊の問題があるが、熱海は舗装された山道で車もそんなに来ないから、最高なんだな。十国峠に続く道に何度か泊まった宿がある。この間は3泊し、朝に下って上って、昼飯の後も下って上って、夜も電気をつけて下って上った。温泉との相性も本当にいい。ブンブン上り下りをやって、湯につかって体をほぐし、翌日も上り下り。最高の贅沢だよ。おかげで血圧も低く、体に悪いところはどこもない。

 もうひとつ、この3~4年ハマっているのが、時速4キロで走るスロージョギング。これも最高だぞ。歩くヤツよりものろいくらいだから、くたびれない。

 俺も67歳だから、無理はできない。自分の中で、これなら続けられるな、というのをやる。だれかと競争しようという気持ちが少しもない。そういうのが一番幸せなんだよ。俺とかみさんの“乗り物”は足。「足に乗っていこう」ってのがさ、俺たちの合言葉なんだな。

▽ノルディックウオーキングとは
 2本のポールを使って歩く。全身運動効果が高く、認知症予防に役立つという報告もあり、最近、注目されている。予算があまりかからず、どこででもできるのも魅力。山本氏のポールは「好日山荘(アウトドアショップ)で2万円くらいだったかな」とのこと。

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