若年性は8割失職 「認知症」予防は“一歩手前”での治療がカギ

年に1回は脳ドックを
年に1回は脳ドックを(C)日刊ゲンダイ

 やっぱり、苦しい病気だ。患者2129人の調査で、65歳未満で発症する若年性認知症の人のうち、8割が解雇されたり、自己退職したりして失職していたことが明らかになった。病気の性質上、仕事を続けるのが難しいのは想像に難くないが、この失職率の高さはショッキングだ。

 東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏が言う。

「若年性であってもなくても、認知症と診断されると、現時点では治すことができません。カギは、その一歩手前の『軽度認知障害(MCI)』の段階で治療を受けられるかどうかです。そうすれば、認知症への進行を遅らせることができ、定年まで仕事を続けられるケースもまれではないのです」

■最も手軽なのは「MMSE検査」

 認知症は、脳の血管に異常ができるタイプと、脳そのものに異常ができるタイプがある。前者は脳卒中などが原因で、生活習慣の改善が必要。問題は後者で、中でも頻度の高さと病状の深刻さでヤバイのがアルツハイマーだ。映画「明日の記憶」の主人公は49歳で若年性アルツハイマーと診断され、自殺を試みたが、松井氏は「MCIのうちに病気を見つける方法がある」とこう続ける。

「最も手軽なのは、全11問30点満点の『MMSE検査』です。受診日の月日や病院の名前・所在地、身の回りの物の名前、簡単な計算などを行ってもらい、27点以上なら正常、22点以上26点以下はMCIの疑い、21点以下は認知症の疑いがあります。ターゲットはMCIで、その上限に近い25点くらいで治療を始めると、30点満点に戻るくらい認知機能が改善するケースもある。若年性は平均51歳で発症しますが、40代前半も少なくありません。物忘れなど気になる症状があれば40代から毎年1回、物忘れ外来や脳ドックなどでこの検査を受けること。脳ドックはMRI検査もあり、脳の異常もチェックできてベターです」

 認知症と総称される約70の病気の中には、治療で完治するものもある。そういうタイプを早期発見するためにも、40代からは脳のチェックだ。

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