症状消えても完治ではない 歯の健康は「メンテナンス」が肝心

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「入れ歯、ブリッジ、インプラントという治療方法もありますが、これはこれで、『治したはずなのにトラブルが出てきた』と訴えて歯科医院を転々とする“歯科ジプシー”になっている患者さんも珍しくありません」

 入れ歯ひとつとってもさまざまな材料があり、質はピンキリだ。口の中は骨格や歯のつくりなど人によって異なり、歯周病による“損傷度”も違う。最新の質のいい材料を使い、各人に合うように何度もチェックをしようとすれば、保険の適用でカバーできないところも出てくるし、費用もそれなりにかかる。

 しかし、がんなどの重大病についてはある程度心構えをしていても、入れ歯について「退職金のうち、これだけは歯の治療に」と準備する人は、少ないのではないか。

「高額の治療費を払ってインプラントをしても、うまくいかない人もいます。インプラントは歯周病の治療をして口腔内の環境を改善してから行うのが基本ですが、その前にインプラントをしてしまう患者さんもいます。インプラントは治療後もメンテナンスが不可欠。それをしなかったために、インプラント周囲炎を起こし、こじらせ、結局、抜かなければならなくなるケースもあるのです」

 場合によっては骨ごと削る大掛かりな治療が必要になり、「せっかくインプラントをしたのに……」となりかねない。

 定年後に後悔しないためには、現役時代から定期的に歯科医院でメンテナンスを受けること。「忙しい」を理由にしている場合ではない。

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