「つまり、原因不明の嗅覚障害の中には将来、神経変性疾患を発症するリスクが含まれるということです。むろん、嗅覚障害を合併しない神経変性疾患もありますから、すでに神経変性疾患を発症している患者さんに嗅覚検査を行えば、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などとの鑑別ができます。また、まだ症状が表れていないアルツハイマー型認知症やパーキンソン病だった場合、症状の進行度や認知障害発症の予知につながるというわけです」
ただし、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病による嗅覚障害の大半は、本人が自覚していないという。では、食べ物の味には変化が表れないのか。
「味は舌で感じるものですが、鼻をつまんで食べてみると分かるように、味には嗅覚も強い影響を及ぼしています。嗅覚障害があれば“風味”が感じられなくなるので風味障害が起こります。味がおかしく感じる場合もあると思います」