「認知症」発症の真犯人説 脳を壊すタンパク質“タウ”って何?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 将来、子供たちに迷惑をかけたくない――。そんな思いから、食事や脳トレなどさまざまな認知症予防に励んでいる人もいるだろう。しかし、少し冷静になって病気の原因や食事の効果について考える必要があるかもしれない。これまで有力視されてきた仮説をもとに開発された薬剤がことごとく失敗に終わり、仮説の見直しが迫られているからだ。

「現在、(認知症の半数以上を占める)アルツハイマー型認知症の発症と進行の原因は、アミロイドβではなく、異常なタウタンパク質の脳内蓄積であるというのが、世界の流れになりつつあります」

 こう言うのは東京都医学総合研究所の認知症・高次脳機能研究分野のリーダー・長谷川成人氏だ。長谷川氏は脳内のタンパク質の変質による神経変性疾患の研究者。世界に先駆け、10年以上前から「アルツハイマー型認知症の真犯人=タウ」説を唱えてきた。

 ヒトが得た情報は脳内の1000億以上ある神経細胞のつながりによって伝達・記憶される。タウは、神経細胞がネットワークを形成し、情報を伝えることに必要な軸索(発信機)を支えるマイクロチューブル(微小管)を構成するタンパク質。タウが、なんらかの原因で異常な構造に変化すると、マイクロチューブルが壊れる可能性がある。

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