「しつこい便秘や下痢は、原因を見極めて治療しないと治らない。その当たり前のことがされていないのが現状です」
国立病院機構久里浜医療センターの水上健氏(内視鏡検診センター部長)は、便秘や下痢の新たな原因として「ねじれ腸」や「落下腸」を見いだし、難治性の便秘・下痢患者を驚くほど早く改善させている。しかし、この2つ以外にも、見落とされがちな原因や事象があるという。
日本のトイレの主流が「和式」から「洋式」に変わったことは、便秘に関係している。
「洋式便所では、背筋を伸ばして便座に腰掛けます。それだと直腸が肛門に向かって真っすぐ伸びている人は普通に排便できますが、日本人には直腸が肛門まで鋭角にカーブしている人が多い。すると、背筋を伸ばして便座に腰掛けた状態では、途中で便がつっかえて、排出されにくく、痔にもなりやすいのです」
そういう人には、和式便所のしゃがんで上半身を前傾させてイキむ、いわゆる“うんこ座りスタイル”が向いている。洋式便所なら、足台を使ったり上半身を前傾させたりするだけで効果がある。
最近、子供の便秘の増加が指摘されているが、これらのほとんどは“洋式便所型おしり”でないことが原因だという。
「子供では、10歳未満の便秘にはストレス性のものはありません。また、食事に問題があると思って食物繊維を積極的に取ると、腹痛や膨満感を引き起こし、つらい思いをします」
子供の患者の中には、便の悩みから登校拒否や引きこもりになり、そのまま何年も…‥というケースが少なくない。将来にも関わるため、早期対策が重要だ。