デング熱だけじゃない…「虫で死なない」ための対策と対処

縞模様の服は着ない方がベター(写真はイメージ)
縞模様の服は着ない方がベター(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 昨年夏、70年ぶりに都内の公園で感染が確認されたデング熱。媒介となる蚊(ヒトスジシマカ)が増える季節を前に、国を挙げて対策が検討されている。しかし、気をつけるべきはヒトスジシマカだけではない。

■虫の種類によっては、重篤な病気に発展するケースも

「これからの季節、病気の原因となる虫の活動が活発になります。私たちも屋外での活動が増え、しかも半袖半ズボンと薄着になり露出する部分が増える。虫によっては、重篤な病気に発展するケースもあるので、対策を正しく知っておくことが重要です」

 こう話す「丸の内トラストタワークリニック」の濱本恒男院長のもとには、東京駅すぐ近くのクリニックという立地上、虫が原因と考えられる症状で駆け込んでくる現役サラリーマンが非常に多い。目立つのは、マダニ、ハチ、ブヨ、やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)、毛虫だという。

「たいていの場合、症状はすぐに出るのではなく、1~2日、虫によっては数日間たってから出ることがある。月曜日や火曜日に急激な症状で来院した患者に事情を聴くと、土日に屋外で活動した話が出てくることが珍しくありません」

 対策の大前提は、「刺されない」「触れない」ことだ。屋外で長時間過ごす時、特に自然が多い環境の中では、長袖・長ズボンを着用し、皮膚が露出している部分には虫よけスプレーを振りかける。ハチは、黄色と黒の縞模様を的だと思って攻撃性を増すので、ハチがいそうな場所では、そうした色の服は着ない。

「“触れない”は結構見落としがちです。蚊やマダニ、ブヨは刺されて症状が出ますが、やけど虫や毛虫は触れただけでも、皮膚がひどく腫れ上がります」

 刺されたり、触れたりしたら、急いで流水で患部を洗い流す。刺し口があったら、そこを指でつまんで、虫の「毒」が体内に回らないようにする。毛虫は「毛」が皮膚に付着していることがあるので、粘着テープを使って取り除く。

■酒飲みは要注意

 むやみに虫を叩き潰さないことも大切。蚊なら問題はないが、やけど虫は、叩き潰して体液が皮膚に付着すると、やけどのような症状が広がる。

 いずれの場合も症状は、腫れや高熱、発疹などが一般的。しかし、たとえばマダニは発熱や下痢、嘔吐を起こし、致死率3割の重症熱性血小板減少症候群を発症するリスクがある。ツツガムシ病はマダニが媒介する病気で40度近い高熱、発疹が出て、脳炎のような症状で死に至る場合もある。

「重要なのは、これからの季節に突然、腫れや高熱、発疹などが出たら、原因のひとつに虫を疑うこと。様子を見ようとせずに、専門医の診察を受けることです」

 同じ環境にいるのに、虫にすぐ刺される人とそうでない人がいる。体質によって「刺されやすさ」が異なる。

「体温が高い、お酒を飲む、汗をよくかく、生理中、子供は虫に刺されやすい。これらの人は、その体質を自覚して、より熱心な対策を」

 治療は、症状が軽ければ抗ヒスタミン剤やステロイドの外用薬、ひどければ経口ステロイド薬。虫による病気の場合は限られた時間、限られた量のステロイドなので、副作用は心配無用だ。