どうすれば…糖尿病患者が禁煙すると「血糖値上昇」の波紋

血糖値をチェックしながら禁煙すべし
血糖値をチェックしながら禁煙すべし(C)日刊ゲンダイ

 英国の大規模研究で、糖尿病の人が禁煙すると、血糖値が上昇することが判明した。研究結果を掲載したのは、世界で最も権威がある医学誌ランセットのうち、糖尿病と内分泌に特化した専門誌。4月29日に発行後、世界中で波紋を広げている。

 英コベントリー大の研究チームは、過去の25本の研究を再調査。その比較として、新たに電子カルテデータから18歳以上の喫煙者の糖尿病患者1万692人を無作為に抽出し、05年からの5年分を追跡した。そのうち1年以上の禁煙に成功したのは3131人だった。

 再調査では、過去2カ月の平均的な血糖状態を示すHbA1c(6.5%以上が糖尿病)は、禁煙後に最大54%増と大幅アップ。54%増ということは、仮に禁煙前が6・5%なら、一気に9%台に突入し、失明や腎不全などの合併症リスクもチラつくレベルだ。比較対象の3131人は禁煙後1年で0.2ポイント増と小幅増だったが、悪化がさらに2年続いた。

 この結果を見ると、糖尿病のスモーカーは、禁煙しない方がよさそうだが……。聖路加国際病院内科名誉医長で、西崎クリニックの西崎統氏が言う。

「禁煙すると、食事がおいしくなり、概して太ります。特に糖尿病の方は飲食を好む傾向が強いので、いっそう食事制限が緩み、太りやすい。それで、血糖値が乱れやすくなるのです。だからといって、禁煙しない方がいいということにはなりません。喫煙は動脈硬化を進めるので、医師に相談して血糖値をチェックしながら禁煙するのです」

 研究では、禁煙後の患者は、体重増が平均5キロに上ることもわかっている。

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