子宮頚がんワクチン被害 病院も学校も自治体も見殺しの実態

13歳からが対象(写真はイメージ)
13歳からが対象(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 子宮頚がんワクチンは安全性に問題がある――。こう言うのは、「子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち」を上梓したジャーナリスト、黒川祥子氏。子宮頚がんワクチンの被害者少女6人と家族の“現実”を目の当たりにし、黒川氏が感じたのは「なぜ、このようなワクチンが少女たちに打たれたのか」という不信感だ。

 北海道在住のあすかさん(仮名・14歳)は、黒川氏の本の出版を今か今かと心待ちにしていたという。

「自分の気持ちを大人たちに伝えたいと、一時は意識混濁にまで陥った体をおして、胸のうちを語ってくれたのですが……。本が届く2日前、記憶を一切失い、家族のことも、トイレや食事の仕方も分からない、まるで赤ちゃんのようになってしまったそうです」

 あすかさんが子宮頚がんワクチンを打ったのは2012年、中学校1年生の時。接種後すぐから失神や頭痛を起こすようになったが、本人を含め誰一人としてワクチン接種がきっかけだとは思わなかった。「国が認め、公費負担でみんなに勧めているもの」だからだ。

 重篤な異変が起こったのは14年。失神と脱力を頻発し、頭痛が激烈になったが、脳神経外科では「頭痛薬の乱用」と門前払い。そんな時、母親が知人から子宮頚がんワクチンの被害について聞き、ハッと思い至った。

 ワクチン副反応の拠点病院を受診。担当医は「ワクチンのせいなんて、とんでもない」と断定し、詐病とみなす発言後、「娘に振り回されている母親が病状を増長している」と言い放った。

「彼女たちだけではない。取材した被害者少女と家族はみな、医師に詐病や心因性と決めつけられ、副反応どころか苦しさを認めてもらえないことに、まず傷ついていました」

 これ以降、あすかさんの病状はより悪化。意識を失う解離と覚醒を数分単位で繰り返す。股関節が肉離れを起こすほどの激しい足のバタバタなど不随意運動も頻繁で、あすかさんをケガなどから守るため、母親が馬乗りで押さえ込まなければならないほどだった。

「被害者少女を多数診ている中部地方の医師の検査で、前頭葉の髄膜の肥厚と、側頭葉の血流の低下が判明しました。効果があると思われる治療法を試そうとしましたが、いずれもあすかさんには向いていませんでした」

 その後、食事が困難になり、経管栄養で何とか命をつなぐという状態にまでなった。今また記憶を失い、母親に「お母さんを捜して下さい」と訴えているという。

「北海道の副反応の拠点病院は、いまだにあすかさんの症状を心因的なものと捉えている。むしろ家族はクレーマー扱いされています。中部地方の医師が障害者手帳を申請するための診断書を書いてくれたのですが、市から障害者認定が却下されました」

「ワクチン接種をした女子生徒への反響が大きい」という理由で、あすかさんの「現実」は学校でも非公表で、「頭痛で長期欠席」と説明されている。

 あすかさんのケースは、ほんの一例に過ぎない。子宮頚がんワクチンは340万人近くが接種し、今も継続して定期接種が行われている。一方、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」への問い合わせは1300件超、被害者登録数は364人(2015年5月現在)。

「ワクチンはあれほど喧伝されましたが、子宮頚がんを予防する効果があることは証明されていないのです。このことは厚労省のリリースにも、小さい字ですが、ちゃんと書かれています」

 黒川氏は今後も被害者を支援する活動を続けていくという。

「この現状を知らない人は多い。“一生、子宮頚がんにならないワクチン”と思い込んでいる人もいます。ゲンダイ読者には娘を守れるのはあなただけ、とぜひ伝えたい」

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