脊柱管狭窄症は「どのくらい歩きたいか」で治療法が変わる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■“歩ける時間”が得られないなら手術も

 ところで、脊柱管狭窄症は薬物治療がファーストチョイスになる。小森部長の経験では、6割が“歩ける時間”が延びるという。

「治りはしませんが、“15分歩ければいいけど、今は5分しか歩けない”という人が、薬で15分歩けるようになったら、生活上は問題がなくなります」

 まずはこの薬物治療で、必要な歩行距離を“獲得”できるかどうかを確かめる。薬は「末梢神経の血液循環をよくする」ものを使う。脊柱管狭窄症の治療で多く使われているのが「慢性の痛みやしびれを抑える」薬だが、まったくといっていいほど効かないことも多いという。

 薬を使って必要とされる“歩ける時間”を得られなければ、手術を考えることになる。

 最近、登場している新手術は、背中の筋肉を傷つけない技法を取り入れたもの。術後、腰痛が起こりにくくなるといわれている。

「ただ、“歩ける時間”についての治療成績は新旧どの治療もたいして差はありません。新しい手術は、古い方法と比較検討できるほど数がまだ行われていないので、今後はどうなるか分からないという点もあります」

3 / 3 ページ

関連記事