夏はカレーやおにぎりも危ない 食中毒“要注意”外食メニュー

生肉をつまんだ箸は焼いた肉や野菜に使わない
生肉をつまんだ箸は焼いた肉や野菜に使わない(C)日刊ゲンダイ

 暑さとともに厄介な食中毒の季節がやってきた。例年、細菌性の食中毒は夏場の7、8、9月が圧倒的に多い。気温が高いので短時間に菌が増えやすく高リスクになる。とりわけ、外食の機会が多いサラリーマンは注意が必要だ。

 食中毒の専門家で、東京家政大学客員教授(食品衛生学)の藤井建夫氏が言う。

「たとえば、ランチタイムに露店の弁当屋とコンビニ弁当だったらどちらを買いますか? 私なら迷わず後者を選ぶ。コンビニは製造環境が衛生的で温度管理も徹底していますから。これに対して、家で作って街角で売っているようなお弁当は、この時季、ちょっと心配。食材は新鮮か、手洗いはしたか、温度管理は――と考えると、出発点の菌の数が全然違う。衛生環境が整っていない分、食中毒のリスクは高い。食中毒防止の3原則は、菌を『つけない、増やさない、殺菌する』ですが、リスクを避ける生活習慣も重要です」

 どんなメニューが“危ない”のか? 食中毒の発生件数が多いモノをピックアップすると――。

■カンピロバクター

 今や“発生数ではノロウイルスと双璧”といわれるほど多発する。大気中では増殖しないが、O157同様、少数の菌でも食中毒を起こす恐ろしい菌だ。

「とりわさ、とり刺しなど、火が通っていない鳥肉に付いていやすい。焼き鳥でも真ん中が生のようなものは避けるべきです。もともと、鳥肉の50%についている可能性があるとの研究もあります」(藤井氏)

■ウエルシュ菌

 加熱しても死なない菌だ。鍋のカレーの中でも“寝ている状態”で生き残り、一晩寝かせているうちに“目を覚まして”増殖する。味が良くなるとはいうものの、患者数は最も多い事実をお忘れなく。

■アニサキス

 近年目立つ寄生虫による食中毒の中で最も警戒すべき存在。

「たとえば、シメサバ。酢でシメてもこの寄生虫は簡単に死にません。イワシの刺し身も危険。寄生虫はもともと内臓についていて、古いものほど内臓から身に移りやすい。長さは2~3センチ程度あるので見て食べる手もありますが……。イカ刺しも含め注意が必要です」

 アニサキスが体内に入ると激痛が。数年前、魚介を食べてアニサキスに襲われた本紙記者は「息が詰まるほどの痛み」と振り返った。

■O157

 ランチの定番、ハンバーグもリスキーな選択だ。

「ミンチの肉は生肉より菌の数が多いと考えられます。肉汁も出るし、こね合わせる過程で手に触れる時間も長い。アメリカで最初にO157が発生した時もハンバーガー店でした。十分に火を通したものを食べることです」

 焼き肉のとき、生肉をつまんだ箸は、焼いた肉や野菜に使ってはダメだ。

■ブドウ球菌

 菌が作り出す毒素で嘔吐、吐き気を及ぼす。熱に強く菌は死ぬが毒素は死なない。

「手にケガをして化膿した場所にいます。素手でおにぎりを握ったり、弁当を作ったりすると、昼ごろまでに毒素ができてしまう。手荒れがひどい人もリスキーです」

 保冷がベストの対策だ。

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