ガブ飲みで命が危険に…熱中症対策「水分補給」の落とし穴

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「小まめな水分補給を」――総務省消防庁が28日、全国で相次ぐ熱中症対策に注意を呼びかけた。ところが、「水分補給」には大きな落とし穴がある。実は、暑いからといってガブ飲みしていると、「水中毒」になり、命を落とす危険があるのだ。

「六号通り診療所」の石原藤樹所長はこう言う。

「個人差はありますが、腎臓の限界を超えて水分を取ると、水分が尿で体外に出ていかなくなる。すると、血中の塩分濃度が薄くなり、『低ナトリウム血症』に陥ります。これが水中毒の正体で、軽度でも意識障害を起こす。重度だと脳の一部が溶け、重大な障害が残ることもある。最悪、死に至るケースもあるのです。塩分を含んでいるからと、スポーツドリンクを飲み過ぎるのも危険。熱中症対策で、ガブガブ飲むのではなく、喉が渇いたらコップ1杯(約200ミリリットル)の水を少しずつ飲むように心がけることが肝要です」

 2002年に米国で行われたボストンマラソンでは、28歳のランナーが水を約7リットル飲み、リタイア。自宅に戻り、低ナトリウム血症が原因で死亡している。週末のジョギングでも、必要以上の水分補給は危険だ。

 石原所長は、成人男性なら食事で摂取する水分以外に、1日に2リットルまでなら飲料で摂取しても問題ないという。ただし、腎臓や心臓に持病がある場合は800ミリリットル程度に制限する必要がある。うだるような暑さだが、「ガブ飲み」していると取り返しのつかないことになる。

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