焼肉やウナギは逆効果にも 夏バテ予防は「ビタミンB群」重視

消化力が衰えている胃にウナギは負担大
消化力が衰えている胃にウナギは負担大(C)日刊ゲンダイ

 食事をちゃんと取っていても、疲労感が続く“夏バテ”になりやすい。元気に乗り切るには、ある栄養素がカギになる。

「夏は、体が疲れやすくなるさまざまな条件がそろっています」

 こう言うのは、管理栄養士の平川あずさ氏だ。“条件”をザッと挙げてみよう。

・食欲が落ちて、栄養不足になる
・食欲はあるが、単品のみ(菓子パンやおにぎりのみ、麺類中心になるなど)で栄養が偏る
・冷たいものや水分を取り過ぎ、胃腸が冷えて消化器官内の消化酵素の働きが低下し、胃腸機能が落ちる
・屋外は暑いが、屋内はクーラーで冷えているため、自律神経の調整がうまくいかなくなり、不調が生じる。胃腸機能低下にも拍車をかける
・汗と一緒にミネラルなどが体外に流れ、不足気味になる
・熱帯夜で眠りの質が下がる

「該当する項目が多いほど、夏バテはひどくなり、長引きます。また、胃腸機能が低下すると、腸は免疫の要ですから、風邪など感染症にかかりやすくなります」

 夏バテ対策とばかりに、「肉だ! ウナギだ!」と考えている人も、ちょっと待て。胃腸が弱り、消化力が衰えている体に、脂肪が多く、高カロリーの肉やウナギは負担が大きい。より一層、胃腸機能低下となり、夏バテの負のスパイラルから抜け出せなくなる。

 ベストの対策は、主食、主菜、副菜がそろった栄養バランスの良い食事を取ること。しかし、朝夜は自宅で食事、昼は手作り弁当を徹底しているような人でなければ、なかなか難しいだろう。自分で料理ができなければ、妻に迷惑をかけることにもなる。

■自律神経の働きを正常に戻す作用が

 そこで、平川氏がおすすめするのが、「ビタミンB群」に重きを置いた食事だ。

「ビタミンB群はエネルギー代謝に欠かせない栄養素です。不足すると、疲労物質が体内に蓄積し、体が疲れやすくなります。ビタミンB群は自律神経の働きを正常に戻す作用があります」

 ビタミンB群の疲労解消効果は、複数の動物実験で証明されている。たとえばアサヒグループらの実験では、ビタミンB群が豊富なビール酵母のエキス水溶液を量を変え、マウス5群にそれぞれ10日間摂取させた。

 そして、マウスを回転カゴに入れて180分間強制歩行させ、その後、自発行動量を測定。疲労が強いほど、自発行動量は減少するが、ビール酵母エキスを全く含まない水溶液を飲んだマウスは、強制歩行をさせなかったマウスに比べて、自発行動量は8分の1まで減少した。

 また、ビール酵母エキスの量が増えるほどに自発行動量は増え、ある量を過ぎると、強制歩行をさせなかったマウスと自発行動量が同等だった。つまり、強制歩行による疲労が、その後の行動に影響を及ぼさなかったということだ。

 今日から積極的にビタミンB群を! 玄米、枝豆、豆腐や納豆などの大豆加工食品、豚肉など肉の赤身などで取れる。

「ビタミンB群は水溶性なので、食品で取るのなら過剰摂取の心配はありません。一方で“取りだめ”ができない。毎食、ビタミンB群が取れる食べ方をすると、効率のいい夏バテ対策になります。玄米や大豆加工食品が日常的に取りやすい。特に玄米は、ナイアシン、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄といった健康維持に欠かせない栄養素も豊富でおすすめです」

「食べにくい」「炊くのに手間がかかる」と玄米へ苦手意識を持っている人もいるかもしれないが、今は白米と同じような食感のものや、無洗米で手間がかからず炊けるものも出ているので、試してみてはどうだろう。

関連記事