耳の遠い老人の“聞こえ方”が分かる「ジェロトーク」って何?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年を取ると、誰でも「聞こえ」は悪くなる。しかし、対応する側は「子供に諭すように話しかけなさい」といった前近代的な方法論がまかり通っている。ここに科学や工学を持ち込むとどうなるのか? 登場したのが、高齢者の耳にどのように聞こえているかを模擬体験する音声システムアプリ「ジェロトーク」(ジェロとはギリシャ語の老人)だ。

 開発したのは、コールセンターのサポート業務を行う「TMJ」と「東京大学」、加齢性難聴の専門家「オトデザイナーズ」の坂本真一氏ら。高齢者の「聞こえ」に科学的・工学的なアプローチを加え、高齢者対応の話し方を作り上げた。「ジェロトーク」をコールセンターのオペレーター研修に利用して、売り上げを飛躍的にアップさせている企業が増えているというから驚きだ。

 実際に記者も「ジェロトーク」を体験してみると、くぐもったような、電波の悪いラジオを聞いているような感じ。声に抑揚がない。田舎のおばあちゃんの耳にはこう聞こえているのだ。

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