■女性にも感染広まる
梅毒の感染者数は2014年10月時点で、約8割が男性。そのうち、男性と性交する男性が45%を占めている。欧米でも男性の同性間の性交による感染が圧倒的多数だ。
ただし、日本に特徴的な傾向がある。それはまず、「女性にも感染が広がっていること」。昨年と比較すると男性の増加数は1.3倍だが、女性は1.5倍だった。次に、「男性の異性間の感染も増えていること」も特徴的で、昨年と比較して1.4倍になっている。
「米国では見られない傾向です。女性の感染者増加は、男性の異性間の感染者増加の結果なのかもしれません」
ちなみに、なぜ男性の異性間の感染者数が増加しているのかも、原因ははっきりと分かっていない。いずれにしろ、これらの報告から学ぶべきことは、「梅毒は現在も世の中に存在する病気。感染経路が明らかで、リスクを下げる方法も治療法もある。それをきちんと理解すれば、安全性は高まり、感染者数も減っていく」ということだ。
「性感染症を世の中からゼロにするのは難しい。それならば、感染しない、感染を広げないための正しい知識を持つことが大事です」
今回の「過去10年で感染者数最高」というニュースを、梅毒について正しく知るいい機会にすべきだ。