残暑を乗り切る正しい「エアコン活用法」3つのポイント

深く良質な睡眠を取る
深く良質な睡眠を取る(C)日刊ゲンダイ

 暑さも一段落と思ったら、8月末から9月頭にかけて厳しい残暑が予想されている。熱中症予防はもちろん、しっかり健康管理するためにも、エアコンの正しい使い方を知っておきたい。

■入眠時にしっかり深部体温を下げておく

 夜間の熱中症対策や、夜中に目を覚まして熟睡を妨げることを防ぐため、就寝中もエアコンをつけっぱなしにしておくことが推奨されている。だが、うまく利用するコツを知っておかないと、熟睡を妨げてかえって健康に悪影響を与えてしまいかねない。作業療法士の菅原洋平氏は言う。

「深く良質な睡眠を取るためには、入眠時にしっかり深部体温を下げることが大切です。深部体温とは、内臓を含めた体の中心部の体温のことで、下がれば下がるほど眠くなり、睡眠が深くなります。とりわけ、入眠してからの3時間に深部体温をしっかり下げられるかどうかが肝心です。人間は、入眠から90分、その次の90分の合わせて3時間しか深い睡眠はつくられないサイクルになっています。睡眠ホルモンのメラトニンは入眠から3時間後に分泌のピークを迎えます。疲労回復や細胞修復といった重大な役割を担っている成長ホルモンも、入眠3時間に集中して分泌されます」

 エアコンは、入眠3時間の深部体温を下げるために活用する。人間は「汗」をかいて体温を下げる。かいた汗が蒸発する時の気化熱によって血液の温度が下がり、深部体温も下がる。

■就寝1時間前にエアコンをつけておく

 暑くて寝苦しい夜は温度も湿度も高く、汗をかいても蒸発しづらいため、深部体温も下がらない。そうなると深い睡眠が妨げられる。

「エアコンは、体を全体的に冷やすのではなく、効率良く汗を蒸発させるために使うものだと考えてください。眠る1時間以上前に寝室のエアコンのスイッチを入れ、部屋の建材や寝具を乾燥させておきましょう。枕をひっくり返し、掛け布団をあげて敷き布団を冷気に触れさせておくと、就寝時に汗を吸収しやすくなって深部体温を下げやすくなります」

 寝室のエアコンをつけたら自分は部屋から出て、夕食を取ったり、入浴したりするなど、別の部屋で過ごす。就寝するために体温が上がった状態で冷えた部屋に入ると、熱が奪われて深部体温が下がるのを助けてくれる。

■タイマーは最長3時間で切れるようにセット

「就寝時はエアコンをつけっぱなしにはせず、深い睡眠がつくられるサイクルに合わせ、90分か3時間で切れるようにセットしてください。睡眠時に体全体が冷えてしまうと、脳は危険な状態だと判断し、深部体温を上げようとします。そうなると、覚醒して眠りが浅くなってしまいます」

 タイマーが切れ、暑くて目が覚めてしまうという人もいるだろうが、ここでエアコンをつけ直すのは一番やってはいけないパターン。人間は体温が最低になる朝4時を過ぎると、徐々に体温を上げて起床の準備を始める。そのタイミングでエアコンをつけて体温を下げてしまうと、起床時の覚醒が妨げられ、寝起きにボーッとする時間が長くなったり、体調を崩したりする原因になる。

「入眠時に深部体温を下げるリズムが整ってくると、眠りが深くなって、暑くても簡単には目が覚めなくなってきます」

 エアコンだけでなく、就寝前にホットタオルで体の表面を拭くのも、深部体温を下げるために効果的だ。

「かいた汗よりもさらに熱いお湯で体を拭くと、お湯と汗が蒸発して気化熱を奪い、放熱を促してくれます。特に汗をかく足の裏、ひざの裏、脇の下、首を拭くと効果的です。暑さで目が覚めてしまったときも、エアコンはつけずにこの方法を試してみてください」

 ホットタオルは、喫茶店などで提供される温かいおしぼり程度の温度でOK。これで、暑さが戻ってきても乗り切れる。

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