治療で大事なのは薬選びより早期発見 「緑内障」の正しい知識

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 昨年秋に新薬が承認された緑内障は、必ずしもすぐに治療が必要とは限らない場合がある。緑内障を専門とする日本医科大学付属病院眼科・中元兼二講師に聞いた。

■視野欠損が進んでいるのに気付いていない人も

 眼圧が上昇し、視神経が圧迫されて変形するのが緑内障だ。原因は、目の中を循環する“房水”がうまく排出されないこと。一度変形すると、元には戻らない。

「ところが、日本人には眼圧が正常範囲なのに視神経が変形する“正常眼圧緑内障”が多い。統計的には、世界の眼圧の分布と、日本人の分布は大きく変わりません。それでも日本人に正常眼圧緑内障が多いのは、近視が多い民族のため視神経が弱く、低めの眼圧でも視神経が障害を受けやすいからではないかと考えられています」

 眼圧が高い緑内障と比べ、正常眼圧緑内障は進行がゆっくり。さらに、眼圧は測るタイミングによって変わる。「緊張していると高くなる」「朝晩で変わる」というから厄介だ。だから、患者の眼圧、視野、視神経の状態などの情報を吟味し、治療の開始を決める。すぐに治療を始めないこともあり、その場合は半年~1年に1回、検査で様子を見る。

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