当事者が語る 「レビー小体型認知症」を発症して分かったこと

(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

■「右肩下がりに悪化するのは間違い」

 認知症は右肩下がりに悪化する一方と医師は言いますが、違います。慎重で適切な治療が大前提ですが、不安などのストレスで悪化し、人と楽しく笑い合うことが一番症状を改善することを実感しています。運動など血流を良くするさまざまなことも効果があります。

 レビー小体型は薬に弱い体質になる特徴があり、処方薬や、風邪薬、胃薬などの市販薬でも、もうろうとすることがよくあります。薬で症状を抑えようとして副作用で悪化し、そのことに気づかず、「認知症が悪化した」と説明する医師も少なくありません。

 病気で低下する機能も、脳の無数の機能の中のごく一部です。私は単純な計算ができなくなった時でも思考力は衰えませんでした。若年性アルツハイマー病の方々も記憶力は落ちても思考力は落ちていません。病気によって症状は全く違います。認知症を病名のように使い、病気の種類も進行の度合いも無視して十把一からげに語られることが、診断された私たちを絶望させ、悪化させているのです。

 誰もが正しく病気を理解し、誰にでも話すことができ、それを自然に受け入れられる社会なら、この病気になっても穏やかに幸せに暮らし続けられます。私は、認知症をめぐる今の問題の多くは、病気そのものが原因ではなく、人災のように感じています。

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