Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【今井雅之さんのケース(2)】便潜血検査が陽性なら症状なくても大腸カメラを

 サラリーマンは会社の健康診断がありますが、サボっている人が少なくないのも事実。奥さんの健康診断もサポートしてくれる会社もありますが、なければ奥さんは自分で住民検診を受けることになります。自治体からの補助などがあり、安価で受けられますが、肝心の受診率は30~40%と低空飛行。もったいない話です。

 今年の予測では、大腸がんにかかる人は13万6000人で、胃がんを抜いて部位別のトップに。食事の欧米化などによって、年々患者数は増えていますし、死亡数は50年前の10倍。そんな現状からも、今井さんの訃報を教訓に便潜血検査を受けることが大切です。

中川恵一・東大医学部付属病院放射線科准教授

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。