北山村は和歌山県でありながら、和歌山県内にはない。奈良県と三重県に囲まれている、全国で唯一の飛び地の村だ。
珍しいのは村の位置だけでなく、北山村の特産品の“じゃばら”も同様。
じゃばらは、ユズと九年母(みかんの一種)、紀州みかんなどの自然交配種で、北山村にしか自生していない、かんきつ類。邪気を払うほど酸っぱいことから、じゃばら(邪払)という名前がついたといわれている。
実は、病気も追い払ってくれそうなほど、じゃばらは頼もしい。会社員の奥山裕一さんは、花粉症対策として、じゃばらを試してみたという。
「雑誌で、じゃばらが花粉症の症状を改善することを知りました。じゃばらの果汁を飲んでいたせいか、今年は鼻水や目のかゆみが軽減しました」
その秘密は、じゃばらに豊富なフラボノイドの一種、ナリルチン。これがアレルギーの原因となるヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えてくれるのだ。
じゃばらのナリルチンの含有量は、カボスの約27倍、ユズの約6.5倍もあるというから驚く。ブタクサなど秋の花粉、来年のスギ花粉対策として即戦力となるはずだ。
さらに、現代人に欠乏しがちなビタミンC、余分なナトリウムを排出してくれるカリウムも多く含まれている。
味は酸っぱく、まろやかな風味。果汁は焼き魚や酎ハイなどに使え、そのほか、いろいろな商品も市販されている。
じゃばらで、体の中を清めたいものだ。
真似したい伝承療法