真似したい伝承療法

和歌山県のじゃばら

和歌山県のじゃばら
和歌山県のじゃばら(C)日刊ゲンダイ

 北山村は和歌山県でありながら、和歌山県内にはない。奈良県と三重県に囲まれている、全国で唯一の飛び地の村だ。

 珍しいのは村の位置だけでなく、北山村の特産品の“じゃばら”も同様。

 じゃばらは、ユズと九年母(みかんの一種)、紀州みかんなどの自然交配種で、北山村にしか自生していない、かんきつ類。邪気を払うほど酸っぱいことから、じゃばら(邪払)という名前がついたといわれている。

 実は、病気も追い払ってくれそうなほど、じゃばらは頼もしい。会社員の奥山裕一さんは、花粉症対策として、じゃばらを試してみたという。

「雑誌で、じゃばらが花粉症の症状を改善することを知りました。じゃばらの果汁を飲んでいたせいか、今年は鼻水や目のかゆみが軽減しました」

 その秘密は、じゃばらに豊富なフラボノイドの一種、ナリルチン。これがアレルギーの原因となるヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑えてくれるのだ。

 じゃばらのナリルチンの含有量は、カボスの約27倍、ユズの約6.5倍もあるというから驚く。ブタクサなど秋の花粉、来年のスギ花粉対策として即戦力となるはずだ。

 さらに、現代人に欠乏しがちなビタミンC、余分なナトリウムを排出してくれるカリウムも多く含まれている。

 味は酸っぱく、まろやかな風味。果汁は焼き魚や酎ハイなどに使え、そのほか、いろいろな商品も市販されている。

 じゃばらで、体の中を清めたいものだ。

宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。