茶筅(ちゃせん)でお茶をバタバタと泡立てて飲む、その名も「バタバタ茶」。富山県に古くから伝わる飲み物だ。
お茶は発酵具合により種類が分かれるが、バタバタ茶は“黒茶(後発酵茶)”に分類される。通常の緑茶は、加熱によって発酵を止めた“不発酵茶”。それに対して黒茶は、加熱などの処理をした後、麹菌などの微生物によって熟成発酵させたお茶のことで、国内では非常に珍しい。
1カ月前、都内の富山県アンテナショップでバタバタ茶を購入し、今も飲み続けている木村省吾さんはこう話す。
「爽やかさと甘味があり、飽きのこない味。食事中に飲むと、脂っこいものを食べても胃もたれや消化不良を起こしにくくなりました」
黒茶の機能性は、詳しくは解明されていないが、動物実験では脂肪の吸収を抑えたり、悪玉コレステロールを低下させたりするなどの報告がある。
ロースカツを食べながら、実際にバタバタ茶を飲んでみると、たしかに口の中の脂を洗い流してくれるかのよう。バタバタ茶があれば、どれだけ脂っこいものを食べても平気のように思え、ある意味、危険な気がするほどだ。
富山県では、煮出したバタバタ茶を五郎八茶碗(大きめの飯茶碗)に入れ、茶筅で泡立てて飲むという。塩を耳かき1杯ほど加えると泡立ちがよくなるとか。
もちろん、泡立てなくてもおいしく飲める。脂肪を気にしている人にとっては、最適なお茶のひとつに違いない。
真似したい伝承療法