真似したい伝承療法

岡山県のままチョビ

岡山県のままチョビ
岡山県のままチョビ(C)日刊ゲンダイ

 岡山県を代表する伝統食材のひとつが「ままかり」だ。ままかりとはニシン科の小魚のことで、一般名はサッパ。主に酢漬けや寿司にして食べられている。

 そのままかりをイタリアン風に仕上げたものが“ままチョビ”だ。岡山県の新たな名物になると期待されている。これが脳などにもよいとなれば、放っておけない。

 ままチョビは、ままかりをアンチョビーフィレ風にしたもの。アンチョビーフィレとは、カタクチイワシを塩漬けにして熟成させたもので、イタリア料理でよく利用される。

 なぜ、ままかりをイタリアンに? 開発者であるココホレジャパンの浅井克俊さんはこう話す。

「実は、気候がよく文化的な魅力があったので、岡山県にIターンしました。瀬戸内は、ままかりなどイタリアンに適した食材が多いことを発見。しかも、ままかりは料理のバリエーションが少なく、アンチョビーフィレ風にすれば面白くなると思ったのです」

 ままチョビの味は、臭みがなくてシャープ。身がしっかりしていて、食感もアクセントとなる。パスタやピザにとても合い、まさに、瀬戸内的イタリアンになりそうだ。

 栄養価にもすぐれ、DHAやEPAという不飽和脂肪酸を豊富に含む。DHAは脳細胞を発達、活性化し、記憶力の向上などに役立つといわれている。EPAは血栓の形成を抑え、動脈硬化や高血圧の予防が期待できる。

 ままかりといえば、これからはままチョビだ。

宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。