真似したい伝承療法

新潟県の鬼もろこし

新潟県の鬼もろこし
新潟県の鬼もろこし(C)日刊ゲンダイ

 新潟県魚沼地方といえば、コシヒカリがあまりにも有名。でも、中魚沼郡津南町には、コシヒカリにも負けないほどの甘さを誇るとうもろこしがある。それが「鬼もろこし」だ。

 新潟県のアンテナショップで鬼もろこしのスープを購入して飲んで以来、大ファンになったという、自営業の島田智明さんはこう話す。

「これほど甘く、濃厚なコーンスープは初めてでした。甘いものは得意ではありませんが、これは別格です。体にもきっといいと思いますよ」

 津南町は高原地帯にあるため、収穫時期の夏場は昼夜の寒暖差が非常に大きい。昼間、鬼もろこしは強い日光を受けて光合成し、豊富なデンプンを蓄える。その一方、朝晩は冷え込み、デンプンの無駄な消費を抑えられるので、甘味が多く残っているのだろう。

 鬼もろこしをはじめとする、とうもろこしの栄養価はかなり高い。

 まず、カリウムが豊富なので、余分なナトリウムの排出を促し、血圧の安定に役立つ。免疫力や、ストレスに対抗する力を高めるビタミンCも含んでいるので、疲れ気味の中高年にも心強い。

 さらに、とうもろこしの黄色の色素は、ゼアキサンチンと呼ばれる、カロテノイドの一種。これは強力な抗酸化作用を持ち、特に目の健康維持に貢献するといわれている。

 加齢や活性酸素が原因で起こる白内障などの目のトラブルを心配している人にもおすすめだ。

 健康状態が“黄色信号”になる前に取り入れたい。

宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。