醤油の町として知られる千葉県野田市。そこで古くから家庭の味として親しまれているのが、「醤」だ。
醤とは、例えるならば“食べる醤油”のようなもの。炒った大豆と水に漬けた大麦を混ぜ合わせ、それに種麹や塩などを加え、約1年間の発酵熟成後、完成する。
日本統合医療学園で働く石川奈穂さんは、野田市の近くで生まれ育ち、醤は身近な存在。
「醤油のような香ばしさで、食感は味噌のような感じ。キュウリにつけて食べたりすれば、酒の肴になります。白いご飯にかけても合いますね」
醤の歴史は古く、大和朝廷の時代には本格的に造られていたという。体によいことが経験的にわかったので、長く引き継がれてきたのだろう。
仕事柄、栄養学に詳しい石川さんは、「醤のような発酵食品には植物性乳酸菌が豊富。植物性乳酸菌は胃酸に強いので、生きたまま腸に届きやすく、善玉菌を増やしてくれる。その結果、腸内環境が整い、便通がよくなるなどの変化も出てくるはずです」と太鼓判を押す。
腸は免疫をつかさどる器官でもあるため、腸内環境が好転すれば病気に対する抵抗力も高まりそうだ。
さらに、ビタミンB群も多く、脂質や糖質、タンパク質をエネルギーに変換する際に役立つ。
ただし、ナトリウムも少なくない。血圧が気になる人は、ナトリウムを排出するカリウムが豊富なキュウリなどと一緒に食べるといいだろう。
後世にも伝えていきたい、すぐれた発酵食品だ。
真似したい伝承療法