「青森県でイモといえば、“アピオス(ほどいも)”を連想する人も少なくありません。それほど親しみがあり、味も栄養価も抜群なんですよ」
青森県出身の会社員、佐々木秀介さんはこう話す。
アピオスとは、北米原産のマメ科の植物で、地下茎にできるイモが食用となる。日本に伝わったのは明治初期。一説によれば、青森県の農家がりんごの苗木を米国から取り寄せた際、その土中に混入していたアピオスの種芋が自生、繁殖したのが始まりとされている。
北米では古来インディアンのスタミナ源だったといわれるだけあり、その栄養価は非常に高い。
同じイモでありながら、ジャガイモと比較してカルシウムは30倍、タンパク質は3倍、食物繊維は5倍、鉄分は4倍を誇る。カリウムやリン、ビタミンCなども豊富だ。
特にカルシウムは日本人に足りない栄養素といわれている。
カルシウムは骨や歯の材料となるほか、筋肉の状態を良好に保ち、精神を安定させる作用もある。アピオスはその貴重な補給源となるはずだ。
血圧に関しても、貢献度が高い。アピオスのペプチド(アミノ酸が複数つながったもの)に血圧降下作用があるといわれているからだ。
アピオスにはさまざまな調理法があるが、茹でるだけでも甘味が口に広がり、とてもおいしい。
「インディアンは嘘をつかない」ので、アピオスがすぐれた滋養食であることは間違いないだろう。
真似したい伝承療法