伝承料理の宝庫、秋田県。「いぶりがっこ」や「きりたんぽ鍋」ほど知名度は高くないが、地元民からこよなく愛され、栄養価も満点なのが「ギバサ」だ。
そう言われてもピンとこないかもしれないが、これはアカモクという海藻のこと。全国的にみても、あまり食用にはされてこなかった。しかし、秋田県では古くから食され、海藻の代名詞ともなっている。
「納豆顔負けの粘り強さで、ほのかな磯の香りが食欲をそそります。味噌汁に入れたり、ポン酢をかけたり、食べ方はいろいろあります」と話すのは秋田県出身の会社員、根岸幸助さん。
「子供の頃は『体にいいから』と親に勧められてよく食べました。そのおかげか、風邪ひとつひかず、45歳の今も健康診断では何も引っかかっていません」
実際、ギバサは健康にプラスになる成分が豊富に含まれている。
特筆すべきは、色素成分のフコキサンチン。カロテノイドの一種で、内臓に蓄積した余分な脂肪を燃焼させるほか、糖の代謝を促進して血糖値の上昇を防ぐといわれている。
また、オメガ3脂肪酸も豊富だ。現代人に不足しがちで、それが血栓症やアレルギーを引き起こすとも考えられている。健康を維持するためにも欠かせないものだ。
そのほかにカルシウムやカリウムなどのミネラルも多い。
秋田といえばギバサといわれる日も近いはずだ。
真似したい伝承療法