真似したい伝承療法

秋田県のギバサ

秋田県のギバサ
秋田県のギバサ(C)日刊ゲンダイ

 伝承料理の宝庫、秋田県。「いぶりがっこ」や「きりたんぽ鍋」ほど知名度は高くないが、地元民からこよなく愛され、栄養価も満点なのが「ギバサ」だ。

 そう言われてもピンとこないかもしれないが、これはアカモクという海藻のこと。全国的にみても、あまり食用にはされてこなかった。しかし、秋田県では古くから食され、海藻の代名詞ともなっている。

「納豆顔負けの粘り強さで、ほのかな磯の香りが食欲をそそります。味噌汁に入れたり、ポン酢をかけたり、食べ方はいろいろあります」と話すのは秋田県出身の会社員、根岸幸助さん。

「子供の頃は『体にいいから』と親に勧められてよく食べました。そのおかげか、風邪ひとつひかず、45歳の今も健康診断では何も引っかかっていません」

 実際、ギバサは健康にプラスになる成分が豊富に含まれている。

 特筆すべきは、色素成分のフコキサンチン。カロテノイドの一種で、内臓に蓄積した余分な脂肪を燃焼させるほか、糖の代謝を促進して血糖値の上昇を防ぐといわれている。

 また、オメガ3脂肪酸も豊富だ。現代人に不足しがちで、それが血栓症やアレルギーを引き起こすとも考えられている。健康を維持するためにも欠かせないものだ。

 そのほかにカルシウムやカリウムなどのミネラルも多い。

 秋田といえばギバサといわれる日も近いはずだ。

宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。