広島県の最南端に位置する倉橋島。瀬戸内海の豊富な海の幸に恵まれ、古くから水産業が盛んに行われている。
瀬戸内海というと、ちりめんじゃこを思い浮かべる人も少なくない。カタクチイワシなどのイワシ類を食塩水で煮たあと、天日などで干したものだ。
そのちりめんじゃこより大きく、いりこになる手前のものを、ご存じだろうか? それは、成長し、親であるカタクチイワシの姿に返っていく……ということから、「かえり」と呼ばれている。
かえりも、ちりめんじゃこと同様の作り方だが、市場にあまり出回っておらず、口にする機会もあまりないかもしれない。しかし、これがめっぽうおいしく、食べ始めたら手が止まらないのだ。
会社員の増子真一さんは、広島県の物産展でかえりを購入し、それ以来、やみつきになったという。
「酒の肴にしています。海のいい香りが口の中に広がり、食感もソフト。たまりませんね。かえりのような小魚は健康にもよさそうですし、味も栄養価も文句なしです」
かえりの親になるカタクチイワシはカルシウムやマグネシウム、亜鉛を豊富に含んでいる。
カルシウムは強い骨や歯をつくり、精神面の安定にも役立つ。マグネシウムは狭心症や心筋梗塞などを予防。亜鉛は男性機能と深い関係があるといわれている。
積極的に食べれば、健康状態もよい方向へと返っていきそうだ。
真似したい伝承療法