医療用語基礎知識

【受診時定額負担】財布と症状の軽い患者は大病院から追い出される

(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 来年度から、大病院へは、おいそれと行けなくなる可能性が出てきました。「受診時定額負担」という新しい制度がスタートするからです。

 いまは、ベッド数が200床以上の病院に、診療所などからの紹介状を持たずに行くと、選定療養費(特別療養費)と呼ばれる追加料金を取られることがあります。海外のホームドクター制度を日本にも根付かせ、病院と診療所の役割分担をはっきりさせる目的で、20年ほど前から法律で導入された制度です。

 しかし、選定療養費を取るかどうか、金額をどうするかは、病院側の判断で決めることになっています。そのため、金額は病院によって数百円から数千円とまちまちです。しかも、半数以上の病院が選定療養費を徴収していません。

 実は病院によっては、軽症患者を大勢診るほうが、少ない重症患者を診るよりも儲かる場合があるからです。そういう病院は、軽症患者に敬遠されるようなことをあまりやりたくない。そのためもあって、「病院」と「診療所」のすみ分けはあまり進んでいない状況です。

1 / 3 ページ

やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。