この点は、法的な根拠もあります。「保険医療機関及び保険医療養担当規則」の第20条2のホに、「栄養、安静、運動、職場転換その他療養上の注意を行うことにより、治療の効果を挙げることができると認められる場合は、これらに関し指導を行い、みだりに投薬をしてはならない」とされています。斎藤さんのケースは、酒を減らす、あるいはやめるよう指導することが「療養上の注意」に該当しますので、医師としてまずなすべきは、節酒・断酒の指導でしょう。
医師の立場からすれば、「療養上の注意」は言い訳との闘いです。斎藤さんは、さすがに弁護士さんだけあって、「自己責任論」批判などの大層なご高説を掲げて自己弁護なさる。素晴らしい! 斎藤さんこそまさに「よき法律家」。しかし、医者からすれば「悪しき患者」であると申し上げては失礼でしょうか。ともあれ、ご立派な演説に費やすエネルギーを、どうかぜひともお酒を減らすご努力に向けていただきたく存じます。
うつから回復して、抗うつ薬を飲む必要がなくなったあかつきには、日本国憲法第13条に規定された幸福追求権の一部をなすものとしての「アルコール享受権」を、どうか存分に行使していただきたく存じます。
薬に頼らないこころの健康法Q&A