漢方達人をめざせ!

抗がん剤の副作用軽減に

 大腸がんから肺への転移が見つかったSさん(60)は、現在、抗がん剤治療を受けています。私の薬局に来たのは、「副作用を何とかできないか」という相談でした。

 皮膚疾患がひどく、顔面が真っ赤になっていて、湿疹が一面に広がっています。頭皮にもカサブタができていました。

「吐き気などは病院から処方された薬でなんとかなったのですが、湿疹はどうにもならなくて。フケのようなものが出てくるし、見た目が気になって、それがストレスになっているんです」(Sさん)

 まず選んだのは、五苓散です。嘔吐、下痢、むくみ、頭痛などの不調がある時に使う漢方薬で、一般的には、アトピー性皮膚炎や膀胱炎、二日酔い、慢性的な頭痛といった症例に適応されます。

 次に、柴胡清肝湯も選びました。炎症を和らげ、血行をよくする働きがあり、さらに神経の高ぶりを鎮めます。アトピーやアレルギー性の皮膚トラブル、ニキビなどによく使います。

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久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。